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U 基盤的な調査・研究の年度評価
3.生物圏環境研究

1)研究の概要

生物圏環境研究領域では、生物多様性を構成するさまざまな生物の保全に関する研究、および多様な生物からなる生態系の構造と機能の保全に関する研究を実施する。第2期中期計画期間においては、(1) 絶滅が心配される希少動植物・固有種等の保全に関する研究、(2) 生態系の機能の解析と保全に関する研究、(3) 地球温暖化・大気汚染・水質汚染などの環境変動やストレスが生物と生態系に及ぼす影響に関する研究、(4) 外来生物・遺伝子操作作物の定着・分散の実態の把握と対策に関する研究を中心に進める。

2)外部研究評価委員会による年度評価の平均評点

4.0 点

3)外部研究評価委員会の見解

[現状評価]

本研究では、科学としても環境問題としても端的かつ重要な数多くの研究テーマを明確な使命感を持って展開しており、興味深い研究成果をあげており、評価できる。個別のテーマとしては、特定の種の保存策に関する研究が評価できる。また、環境の変動やストレスが生物と生態系に及ぼす影響に関する研究として、オゾンと地球温暖化とを取り上げていることが評価できる。

一方で、広い分野で何を取り上げるのかという優先度の考え方を判り易く示す必要がある。従来研究の継続という印象で、新規性・独創性があまり見られない、国際的な視点・貢献が十分でないという指摘もあった。また、GMOの例で見られるように、研究成果と実際の政策との間の結び付け方がわかりにくい状況となっている。

[今後への期待、要望]

生物圏環境研究は、性格上、極めて多くの分野を対象とする必要があることは理解できるが、今後、国環研としての独自性を発揮する分野(必ずしも行政との連携を意味するのではない)を定め、環境系の生物学、生態学研究のリーダーとなるような研究の方向性や思想を示すことを期待する。

4)対処方針

今後、国環研としての独自性を発揮する分野を定めて研究の方向性や思想を示すことを期待するとの指摘については、重要な指摘であると受け止め、今年度中に方向性の検討を行うとともに、次期中期計画において大きく発展するための土台作りを今中期計画中に進める。環境省の研究所として特色を出すべき点、研究のキャパシティとして中心的な存在となるべき分野、両方の視点から今後の方向性を検討する。すでに現在、生物系の研究者がこれまでに取り組んできた課題とその成果の総括を行っており、現在の社会的ニーズにも鑑みながら今後の方向を考える(今年度)。それを踏まえて新たな展開の一歩となるような研究課題を立て、競争的研究資金を獲得して展開する(今中期)。

上記と関連し、広い分野で何を取り上げるのかという優先度の考え方を判り易く示す必要があるという指摘については、今後の方向性や思想を検討するなかでおのずと対応できるものと考える。

また、研究成果と実際の政策との間の結び付け方がわかりにくい状況となっているとの指摘については、テーマによって、直接結びつくもの、短期的には結びつきが明確でないものがあるのは確かであるが、基盤領域の性質を考えると、すべて直接結びつける必要はないものと考える。

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