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竹下和貴氏 15:00-15:30


演題
回帰分析における3本の分かれ道:記述と予測と介入

要旨
回帰分析には,目的変数と説明変数の関係の記述,説明変数による目的変数の予測,目的変数に対する説明変数の介入効果の推定という,大きな3つの目的が存在する.説明変数の選択基準は,実はそれら3つの内のどれを研究目的とするかによって大きく異なるのだが,その事実は国内の生態学者にはあまり浸透していないように思われる.本講演では,記述,予測,そして介入を目的とした回帰分析における統計学的な留意点を整理するとともに,回帰分析を用いた講演者による最近の研究例を紹介する.

関連論文(全てオープンアクセスです!)
1. Takeshita KM, Hayashi TI, Yokomizo H. (2020) The effect of intervention in nickel concentrations on benthic macroinvertebrates: A case study of statistical causal inference in ecotoxicology. Environmental Pollution. https://doi.org/10.1016/j.envpol.2020.115059
→回帰分析を用いて,河川水中のニッケル濃度の介入効果の大きさを推定した論文です.説明変数の選択手順についても詳述しています.

2. Takeshita KM, Hayashi TI, Yokomizo H. (in press) What do we want to estimate from observational datasets? Choosing appropriate statistical analysis methods based on the chemical management phase. Integrated Environmental Assessment and Management. https://doi.org/10.1002/ieam.4564
→化学物質汚染を受けた(河川)生態系の保全事業を例に,予測と介入の回帰分析を行うべきタイミングはそれぞれいつなのか,タイミングを間違えるとどうなるのかを解説した論文です.

3. 竹下和貴, 林岳彦, 横溝裕行. (2022) 哺乳類研究における非実験データセットに対する回帰分析の適用について. 哺乳類科学. https://doi.org/10.11238/mammalianscience.62.69
→今回の講演内容の基になっている論文です.乱数による擬似データセットを用いた解説もあります.

講演資料:

https://drive.google.com/file/d/1I09U-ir0JP6PRROlWvf-h-ZPmr4daCMg/view?usp=sharing