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中西康介氏(1) 14:35-14:55


演題
湖沼長期観測時系列データにCausalImpactを適用してみた話:琵琶湖の大渇水は透明度上昇の引き金となったのか?

要旨
生態学分野では,様々な生態系を対象とした長期観測時系列データが蓄積されている.しかし,それらのデータを用いて異常気象や人為的攪乱などの特定のインパクトを統計的因果推論の枠組みから評価することはこれまでほとんど行なわれてこなかった.一方,計量経済学などの分野では,ランダム化比較試験等が困難な条件下で,調査観察時系列データから因果推論を行なうための様々な手法が開発されている.合成コントロール法(Synthetic control methods)はそのような手法の一つである.本発表では,ベイズ構造時系列モデルを用いた合成コントロール法を実施できるRのパッケージ”CausalImpact”の概念や使用方法を解説するとともに,琵琶湖の透明度の長期観測時系列データに本手法を適用した事例を紹介する.

参考文献
Brodersen KH, Gallusser F, Koehler J, Remy N, Scott SL (2015) Inferring causal impact using Bayesian structural time-series models. The Annals of Applied Statistics 9: 247–274. https://doi.org/10.1214/14-AOAS788/
 →CausalImpactの開発論文

CausalImpactパッケージドキュメント https://google.github.io/CausalImpact/
 →CausalImpactの使用方法の解説

Fick SE, Nauman TW, Brungard CC, Duniway MC (2021) Evaluating natural experiments in ecology: using synthetic controls in assessments of remotely sensed land treatments. Ecological Applications 31: e02264. https://doi.org/10.1002/eap.2264
 →合成コントロール法(CausalImpactを含む)の生態学研究への応用や関連手法との比較についての解説