ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方
2022年12月2日

ロゴマーク
「除去土壌・除染廃棄物の適正管理と再生利用に向けた技術」『災害環境研究の今』 第3号の刊行について(お知らせ)

(筑波研究学園都市記者会、福島県政記者クラブ、郡山記者クラブ、環境記者会、環境問題研究会同時配付)

2022年12月2日(金)
国立研究開発法人国立環境研究所
福島地域協働研究拠点
研究グループ長/地域協働推進室長 林 誠二
廃棄物・資源循環研究室    遠藤 和人
 

   国立環境研究所が福島地域協働研究拠点を中心に進めている災害環境研究の最新の成果をお届けする『災害環境研究の今』第3号「除去土壌・除染廃棄物の適正管理と再生利用に向けた技術」を刊行します。
   本号では、国立環境研究所が進める中間貯蔵施設に搬入された除去土壌等の減容化や再生利用ならびに県外最終処分に向けた技術開発に関する研究についてお伝えします。県外での最終処分のためには、除去土壌等を減容化し、安定的に処分するための技術開発に加え、最終処分場を設置するための理解醸成と社会的な合意形成が重要です。
 

本号の内容

災害環境研究の今の写真

 福島県では、東京電力福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質を取り除くための除染作業に伴い、大量の除去土壌(注1)と除染廃棄物(注2)(以下「除去土壌等」という。)が排出されました。除去土壌等は県外において最終処分することが国により約束されています。これに向かい、国立環境研究所福島地域協働研究拠点では、中間貯蔵施設に搬入された除去土壌等の減容化や再生利用ならびに県外最終処分に向けた技術開発を進めています。
 福島県内における除去土壌等の処理フローは、図1のとおりです。まず、除染によって集められた除去土壌等を一時保管するために、地域住民の合意のもと仮置き場が設置されました。除去土壌等は仮置き場での保管後、中間貯蔵施設に運搬され、県外最終処分や再生利用することが計画されています。
 県外最終処分は、技術的課題と社会的課題を抱えています。すべての除去土壌等を県外に持ち出しての最終処分は困難であるため、減容化(注3)し、安定的に処分するための技術を開発する必要があります。また、最終処分場を設置するには、社会的な理解醸成および合意形成が重要です。

(注1)除去土壌とは、除染によってはぎ取られた土壌や、高圧洗浄によって出てきた付着物(泥状)のものを指します。 (注2)除染廃棄物とは、除染の際に建物の屋根を拭き取ったウエス等や、刈り取った枝葉や落葉などを指します。 (注3)ここでいう除去土壌等の減容化とは、様々な技術によって放射性物質の濃度が高いものと低いものに分けることを介して、最終処分しなくてはならない量を減らすことを意味しています。

福島県内における特定廃棄物・除去土壌の処理フローと『災害環境研究の今』第3号各記事の位置づけの図
図1 福島県内における特定廃棄物・除去土壌の処理フローと『災害環境研究の今』第3号各記事の位置づけ
出典|環境省 放射性物質汚染廃棄物処理情報サイト 福島県における取組http://shiteihaiki.env.go.jp/initiatives_fukushima/(2022年9月確認)をもとに作成

 本号では、行政と地域住民の合意形成の事例として、福島県郡山市における除去土壌の一時保管に係る地域社会の対応についての研究(記事1)をご紹介します。
また、適正な県外最終処分を進めるための減容化の方策として、除去土壌の再生利用にむけた研究(記事2)、除染廃棄物の焼却処理技術の確立にむけた研究(記事3)、さらに、焼却・溶融後、放射性セシウムが濃縮した飛灰を安定的に処分するための技術開発シナリオについての研究(記事4)をご紹介します。

本号の構成

本巻のテーマ「除去土壌・除染廃棄物の適正管理と再生利用に向けた技術」

記事1「除染事業および除去土壌の保管に係る地域社会の対応—福島県郡山市を事例にして」
辻 岳史/福島地域協働研究拠点 地域環境創生研究室 主任研究員

記事2「除去土壌を地盤材料として使用するために」
遠藤 和人/福島地域協働研究拠点 廃棄物・資源循環研究室 室長

記事3「除染廃棄物の熱的減容化技術の開発」
倉持 秀敏/資源循環領域 副領域長

記事4「放射性セシウムに汚染された焼却残渣の熱的溶融処理で発生した飛灰の最終処分に向けた検討」
有馬 謙一/資源循環領域 資源循環基盤技術研究室 主任研究員

コラム1 除染特別地域と汚染状況重点調査地域は何が違うのでしょうか?
遠藤 和人/福島地域協働研究拠点 廃棄物・資源循環研究室 室長

コラム2 除去土壌を有効利用するための基本的な考え方
遠藤 和人/福島地域協働研究拠点 廃棄物・資源循環研究室 室長

コラム3 熱的減容化について
飯野 成憲/福島地域協働研究拠点 廃棄物・資源循環研究室 主任研究員

コラム4 環境放射能除染学会の「県外最終処分技術戦略研究会」の紹介
山田 一夫/福島地域協働研究拠点 廃棄物・資源循環研究室 フェロー

閲覧について

下記URLより本号の閲覧が可能です(バックナンバーも掲載しています)。
http://www.nies.go.jp/fukushima/saigai-update.html

本件に関するお問い合わせ先

担当者:国立環境研究所福島地域協働研究拠点 広報担当
Email fukushima-po(末尾に@nies.go.jpをつけてください)

関連新着情報

関連記事