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2019年9月30日

「アジアの研究者とともに築く脱炭素社会-統合評価モデルAIMの開発を通じた国際協力」 国立環境研究所「環境儀」第74号の刊行について(お知らせ)

(筑波研究学園都市記者会、環境記者会、環境省記者クラブ同時配付)

令和元年9月30日(月)
国立研究開発法人国立環境研究所
 編集分科会委員長     :江守 正多
   〃  事務局(環境情報部情報企画室)
        室長    :阿部 裕明
        担当    :青池美江子
 

   国立環境研究所は、研究成果等をわかりやすく伝える研究情報誌「環境儀」の最新号「アジアの研究者とともに築く脱炭素社会-統合評価モデルAIMの開発を通じた国際協力」を刊行します。
   AIM(アジア太平洋統合評価モデル:Asia-Pacific Integrated Model)とは、国立環境研究所が中心となって開発してきた温室効果ガス排出量を予測し、その対策や影響を評価するための統合評価モデルです。このモデルは、アジアの研究者と協力して開発が進められています。また、その結果は、脱炭素社会の構築、持続可能な社会の実現に向けて活用されています。
   本号では、これまでに開発されてきた主要なモデルの解説や気候変動政策で活躍する人材の育成を中心に紹介します。

1 本号の内容

No.74表紙

   2015年に世界の多くの国で合意された「パリ協定」に示されたように、地球全体の平均気温の上昇を抑えるために、アジア途上国も含めた各国が温室効果ガス排出量削減目標の見直しや長期戦略の策定などに自ら取り組む重要性が増しています。
   国立環境研究所では、社会・経済活動に由来する温室効果ガスの排出量を予測し、その対策や影響を分析するため、主としてエネルギーを使う側の視点からシミュレーションする「アジア太平洋統合評価モデル(AIM)」の開発を1990年から実施してきました。AIMの解析結果は、日本をはじめとするアジアのいくつかの国で、温暖化に関する政策立案に貢献しています。また、最近では持続可能な開発目標(SDGs)の評価にも取り組んでいます。
   AIMを開発する研究チームは、上記のような一連の政策の動きに対して、研究成果を共有して議論する国際ワークショップを、1995年度からアジアの研究者らとともに毎年開催しています。さらに、2002年度からは、AIMモデルの開発手法や政策評価を実践するトレーニングワークショップを不定期に開催するとともに、アジアの若手研究者を国立環境研究所に受け入れ、それぞれの国で気候変動政策分野において活躍する人材を多数輩出し、各国の研究者育成に協力しています。
   本号では研究チームのモデルの活用を通じた人材育成によるアジアの持続可能な発展への貢献について紹介します。

○Interview研究者に聞く「アジアの持続可能な発展に貢献する」
   IPCC等により、気候変動によって引き起こされる洪水や干ばつなどの自然災害が、世界の社会や経済に大きな影響を与えると予測されています。こうした問題は、世界の温室効果ガス排出量の増加が原因です。なかでもアジアは経済の発展とともに温室効果ガスの排出量が急増しており、緊急の対策が求められています。
   「Interview研究者に聞く」では、アジア各国と協力して研究を行うようになった経緯や、人材育成を目的としたトレーニングワークショップの概要や特徴など、アジアにおけるAIMの開発を中心とした活動について解説します。

<研究担当者>

増井 利彦(ますい としひこ)
社会環境システム研究センター 統合環境経済研究室 室長
花岡 達也(はなおか たつや)
社会環境システム研究センター 統合環境経済研究室 主任研究員


○Summary「アジアの持続可能な発展に向けて」
   世界各地で、集中豪雨、干ばつ、熱波、強い台風などの異常気象が観測されるなど、気候変動の影響が現れています。また、大気汚染は、原因となる物質が国境を越えて移動し、広範囲にわたって健康に影響を与えるだけでなく、生態系や建造物などにも影響を及ぼし、気候変動とともに地域規模の問題となっています。経済成長の加速するアジアの国々が、先進国の大量消費・大量生産型の生活スタイルを追従して消費水準を高めていくと、気候変動も大気汚染も悪化の一途をたどると考えられています。そこで私たちは、気候変動対策としてエネルギー源の転換を図りながら、大気汚染も同時に解決することを目指して研究に取り組んでいます。
   「Summary」では、気候変動対策と大気汚染対策を同時に解決する将来の取り組みに関する研究成果について説明します。

○研究をめぐって「科学と政策をつなぐ統合評価モデル」
   パリ協定の目標の実現に向けて、経済発展と大幅な温室効果ガス排出量の削減を同時に実現することが重要となります。この対策の基礎情報を提供してくれるのがAIMを含めた統合評価モデルです。「研究をめぐって」では、こうした統合評価モデルの動向について解説します。

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