
国立環境研究所特別研究成果報告書の公表について
(お知らせ)
(筑波研究学園都市記者会、 環境省記者クラブ同時発表 )
平成22年12月20日(月) | ||
独立行政法人国立環境研究所 | ||
企画部長 | 齊藤 眞 | 029-850-2302 |
環境情報センター長 | 岸部 和美 | 029-850-2340 |
【課題代表研究者】 | ||
水土壌圏環境研究領域 | 牧 秀明 | 029-850-2394 |
【担当】 | ||
環境情報センター | 山口 和子 | 029-850-2343 |
国立環境研究所は、今般、特別研究課題の成果として次の報告書を刊行しましたので、お知らせします。
SR-93-2010 貧酸素水塊の形成機構と生物への影響評価に関する研究
(特別研究):牧 秀明
1.報告書・研究成果の概要
SR-93-2010 貧酸素水塊の形成機構と生物への影響評価に関する研究
(特別研究):牧 秀明
本報告書は、平成19〜21年度の3年間にわたって実施した特別研究の成果を取りまとめたものです。
この特別研究では、閉鎖性海域で最大の水環境問題である貧酸素水塊(注)に着目し、その発生の主な原因である水塊中の有機物の分解や底泥への沈降、底泥による溶存酸素消費、代表的な種類の二枚貝に対する影響評価、水質再現のための三次元流動・生態系モデル・シミュレーションの構築・改良について、東京湾を調査対象として行ってきた結果を取りまとめました。
この中で(1)陸起源のものより内部生産(植物プランクトン)に由来する粒子態の有機物の方が、分解性(および酸素消費能)が非常に高いこと、(2)底泥の酸素消費速度は底生生物の現存量より、泥の温度と硫化物含量に大きく依存すること、(3)劣悪環境である運河区域における二枚貝の現地飼育試験において、貧酸素水塊に対する耐性は種ごとに顕著に異なっていたこと、(4)三次元流動・生態系モデル・シミュレーションにおいて、浮遊系の有機物を易分解性・難分解性のものに区別し、底泥の酸素消費速度の実測値を適用することにより水質再現精度が上昇したことが明らかとなりました。
以上で得られた研究結果は、東京湾のみならず、それ以外の貧酸素水塊に見舞われている閉鎖性海域の水環境管理・対策実施のための調査研究手法を例示したものと考えております。
(注)貧酸素水塊
水中に溶解している酸素(溶存酸素)の濃度が、生物の生存に影響を及ぼすほど低下した水の塊のこと。
2.報告書の閲覧・入手について
本報告書は、以下で閲覧できます。
○国立環境研究所ホームページ(URL:http://www.nies.go.jp/kanko/index.html)
○国立環境研究所図書室
○国立国会図書館
なお報告書の入手を希望される場合には、残部があれば頒布いたします(送料本人負担)。 下記へお問い合わせください。
連絡先:環境情報センター情報企画室出版普及係
(TEL: 029-850-2343、E-mail:pub@nies.go.jp)