記者発表 2010年4月28日

ここからページ本文です

温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)によるアイスランドにおける火山噴火
及び噴煙の観測結果の英国政府への提供について
(お知らせ)

(筑波研究学園都市記者会、環境省 記者クラブ、宇宙航空研究開発機構 同時発表 )

平成22年4月28日(水)
(独)国立環境研究所 地球環境研究センター
  衛星観測研究室長: 横田 達也(029-850-2550)
  GOSATプロジェクトオフィスマネージャ:
    渡辺 宏  (029-850-2035)
環境省地球環境局総務課研究調査室 
  代 表: 03-3581-3351
  直 通: 03-5521-8247
  室 長: 小野 洋 (内線6730)
  補 佐: 清野 達男(内線6731)
  係 長: 河里 太郎(内線6735)
(独)宇宙航空研究開発機構広報部 報道グループ
  報道グループ長: 三輪田 真 (050-3362-5691)
  主       任: 萩原 明早香(050-3362-5102)


環境省、(独)国立環境研究所及び(独)宇宙航空研究開発機構(以下、「三者」)は、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT/ゴーサット、平成21年1月23日打上げ)プロジェクトを推進していますが、今般、英国政府の要請に応じ、「いぶき」に搭載した雲エアロソルセンサがアイスランドにおける火山噴火及び噴煙の状況を観測した画像データの提供を開始しましたので、お知らせいたします。

アイスランドの首都レイキャビクの東南東約100kmにあるエイヤフィヤトラヨークトル火山における、4月14日と17日の大規模な噴火による噴煙が欧州の広範な範囲に広がったため、欧州各国では民間旅客機の運休、空港の閉鎖等の緊急対策が取られました。

「いぶき」では、温室効果ガスセンサの補助センサとして搭載している雲・エアロソルセンサ(TANSO-CAI)による全球撮影を3日毎に実施しており、4月15日以降に撮影された画像にアイスランドから欧州に広がる噴煙の様子や、4月17日の大規模な噴火の様子も撮影されました。

今般、英国政府から外務省に対し、火山灰の噴煙の状況確認並びに予測モデルの検証に用いるために観測データの提供依頼があり、三者は雲・エアロソルセンサによる4月15日以降の欧州地域の観測データについて画像処理(*)並びに地図投影(**)を施した形で提供を開始いたしました。

画像データの提供は今月いっぱい実施する予定です。

(*) 画像処理: 雲・エアロソルセンサに用いられている検出器の各素子の特性を考慮して、観測データを正しい輝度値に変換後、噴煙部分が強調されるような処理を行った。

(**) 地図投影: 本件においてはステレオ図法に合うように観測画素を並べ変えた。

【本件問い合わせ先】

(「いぶき」衛星、搭載センサ及び観測状況について)
(独)宇宙航空研究開発機構 宇宙利用ミッション本部 衛星利用推進センター
電話: 050-3362-6130

(搭載センサデータ及びその解析結果について)
(独)国立環境研究所 地球環境研究センター GOSATプロジェクトオフィス
電話: 029-850-2966  

(添付資料)
アイスランドにおける火山噴火及び噴煙の観測結果の英国政府への提供について

図1 日本時間2010年4月15日に「いぶき」によって観測された火山の噴煙の様子

図1 日本時間2010年4月15日に「いぶき」によって観測された火山の噴煙の様子
「いぶき」に搭載された雲エアロソルセンサ(TANSO-CAI)の870nm, 678nm, 380nm波長チャンネル(*)に対して、それぞれ赤、緑、青色を割り当てた合成画像。概ね、雲・雪・海氷、陸の植生域、火山からの噴煙はそれぞれ白、赤、黄色で示されている。本画像は「いぶき」が4月15日に欧州上空を4回通過した際に撮影した画像を重ねて作成された(**)。その際に観測領域に含まれなかった部分が黒抜きになっている。

図2 図1と同様。「いぶき」が4月16日(日本時間)にロシア〜欧州上空を4回通過した際に撮影した画像より作成。

図2  図1と同様。「いぶき」が4月16日(日本時間)にロシア〜欧州上空を4回通過した際に撮影した画像より作成。

図3 図1と同様。「いぶき」が4月17日(日本時間)にロシア〜欧州上空を4回通過した際に撮影した画像より作成。

図3  図1と同様。「いぶき」が4月17日(日本時間)にロシア〜欧州上空を4回通過した際に撮影した画像より作成。

図4 図1と同様。「いぶき」が4月26日(日本時間)にロシア〜欧州上空を4回通過した際に撮影した画像より作成。

図4  図1と同様。「いぶき」が4月26日(日本時間)にロシア〜欧州上空を4回通過した際に撮影した画像より作成。

(*) 870nmは近赤外域、678nmは可視域、380nmは紫外域と呼ばれる波長域。「いぶき」の雲エアロソルセンサは、近赤外域、可視域、紫外域のいずれも太陽光が地表面や雲で反射された光を観測している。

(**) 「いぶき」は北極と南極を南北に結ぶ高度666kmの軌道を1周あたり98分かけて周回している。このため次に通過する軌道で取得された画像の撮影時刻は98分ずれている。