記者発表 2010年3月29日

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「地球温暖化」に関する疑問・質問に
国立環境研究所の研究者がわかりやすく回答
〜「ココが知りたい地球温暖化2」の出版について(お知らせ)〜
(筑波研究学園都市記者会、 環境省記者クラブ同時配付 )

平成22年3月29日(月)
独立行政法人国立環境研究所
地球環境研究センター
  センター長: 笹野泰弘(029-850-2444)
  温暖化リスク評価研究室長: 江守正多(029-850-2724)
  主幹: 風間千尋(029-850-2384)


独立行政法人国立環境研究所地球環境研究センターは、「地球温暖化」について市民の方から研究者によく寄せられる質問への回答を質疑応答形式でまとめた書籍『ココが知りたい地球温暖化2』を、株式会社成山堂書店の「気象ブックス」シリーズの1冊として刊行します。昨年刊行した『ココが知りたい地球温暖化』の続編で、地球温暖化に関する、「科学」「影響」「対策」の3分野に分けた25のQ&Aから構成され、すべて国立環境研究所の研究者が執筆しています。前編と同様に、科学的公平さを踏まえつつ市民の方にもわかりやすく興味深い記述となるよう配慮し、地球温暖化に関する科学的に正確な情報を求める多くの方々のニーズに応えようとする内容になっています。本書は4月中旬から全国の書店で販売されます。

『ココが知りたい地球温暖化2』書籍表紙写真

独立行政法人国立環境研究所(以下「国環研」と略します)では研究の成果を科学論文として研究者・学会に対して報告するだけでなく、一般の多くの方々に科学的に正確な情報をわかりやすく伝えることも重要であると考え、さまざまな形で情報の提供を行っています。国立環境研究所地球環境研究センターは1990年の発足以来、月刊のニュースレター「地球環境研究センターニュース」を発行しており(現在、2,900部を印刷発行、ウェブサイトでも公開)、国内外の地球環境研究に関する最新の情報を提供してきました。

鳩山首相は、2009年9月の就任直後に、国連気候変動首脳会議における演説の中で、一定の前提を置きながらも、「日本が2020年までに1990年比25%の温室効果ガス削減を行う」と表明しました。一方、同年12月にコペンハーゲンで開催された第15回気候変動枠組条約締約国会議・第5回京都議定書締約国会合(COP15/CMP5)では、十分な成果は得られず、国益が衝突する国際交渉での合意の難しさが如実に示されました。こうした環境行政や国際政治の場においても、科学的な知見に基づいた対応が必須であることには変わりありません。また、私たち国民一人ひとりが正しい判断ができる、基礎的な知識を身につけておくことも重要です。

「地球温暖化のことは、見聞きする機会が多いのでよく知っているようでいて、では腑に落ちているかというとそうでもないというのが実際のところのような気がします。地球温暖化にまつわるよくある質問、素朴な疑問に、国環研の第一線の研究者にズバリ答えてもらいます」という趣旨で企画されたのが「ココが知りたい温暖化」という連載です。地球温暖化について市民の方から研究者によく寄せられる質問と、それに対する国環研の研究者の回答をニュースレターに毎号2つずつ掲載する形式で、2006年11月号から2009年1月号まで27回にわたり連載しました。回答作成にあたっては、研究者以外の職員も参加する所内意見交換会などを開催して、一般の方にもわかりやすいものになるよう努めてきました。

記事はニュースレターに掲載するだけでなく、地球環境研究センターのウェブサイト(http://www-cger.nies.go.jp/qa/qa_index-j.html)に掲載したり、リーフレットを作成してイベントで配布するなどしてきましたが、より広く多くの方に読んでいただけるように、一般書籍として刊行することとし、ニュースレターに連載した54のQ&Aのうち前半の29を『ココが知りたい地球温暖化』として、昨年3月に刊行しました。今回の『ココが知りたい地球温暖化2』は、後半の25のQ&Aを、前編と同様、に「温暖化の科学」「温暖化の影響」「温暖化の対策」の3分野に分けて整理し、内容も最新の科学的知見に基づき加筆修正したものを掲載しています。各記事には執筆した研究者プロフィールのほかに「読者へのメッセージ」も記し、研究内容や研究者をより身近に感じていただけるよう配慮しています。

本書は4月中旬から全国の書店で販売されます。前編の『ココが知りたい温暖化』とあわせてお読みいただければ幸いです。

書 名: 気象ブックス032 ココが知りたい地球温暖化2
著者名: 独立行政法人 国立環境研究所 地球環境研究センター
出版社: 成山堂書店
ISBN: 978-4-425-55311-2
定 価: 1890円(本体1800円)
出版年月: 2010年3月
版型(サイズ):四六判
ページ数:220ページ

本書の目次と執筆者

はじめに      笹野  泰弘
パート 1  温暖化の科学のココが知りたい!
Q 1  呼吸で大気中の二酸化炭素が増加する? 遠嶋 康徳
Q 2  海から二酸化炭素が放出された? 向井 人史
Q 3  森林の減少と二酸化炭素呼吸量 三枝 信子
Q 4  二酸化炭素以外の温室効果ガス削減の効果 野尻 幸宏
Q 5  太陽黒点数の変化が温暖化の原因? 野沢 徹
Q 6  寒冷期と温暖期の繰り返し 阿部 学
Q 7  温暖化は暴走する? 江守 正多
Q 8  気候のシミュレーションモデルはどんな結果でも出せる? 小倉 知夫
Q 9  暑い日が増えたのはヒートアイランドが原因? 永島 達也
パート 2  温暖化の影響のココが知りたい!
Q 10  世界の水不足、原因は温暖化? 花崎 直太
Q 11  日本でもマラリア流行? 小野 雅司
Q 12  サンゴの白化は温暖化のせい? 山野 博哉
Q 13  温暖化と生物の絶滅 五箇 公一
パート 3  温暖化の対策のココが知りたい!
Q 14  1990年比マイナス6%の削減目標 野尻 幸宏
Q 15  家庭でできる温暖化対策 金森 有子
Q 16  省エネ製品に買い替えるべき? 田崎 智宏
Q 17  リサイクルって温暖化対策になるの? 森口 祐一
Q 18  カーボン・オフセットって何? 田辺 清人
Q 19  バイオマスエネルギーは温暖化対策に有効? 木下 嗣基
Q 20  石油がなくなれば温暖化は解決? 藤野 純一
Q 21  温暖化の「対策費用」とは? 花岡 達也
Q 22  排出量取引成功のカギと適切な国内対策 日引 聡
Q 23  国際会議――日本の主張は誰が決める? 亀山 康子
Q 24  多くの意味が共存する「セクター別アプローチ」 亀山 康子
Q 25  もっと知ろう!温暖化 青柳 みどり
おわりに      笹野 泰弘