記者発表 2009年8月11日

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「街区エネルギー環境制御システム(UCPS)」のための都市観測研究について
〜国立環境研究所と川崎市の連携協力に関する基本協定に基づく共同研究〜
(お知らせ)
(筑波研究学園都市記者会、 川崎記者クラブ同時発表 )

平成21年8月11日(火)
独立行政法人 国立環境研究所
アジア自然共生研究グループ
グループ長 中根 英昭(029-850-2491)
環境技術評価システム研究室長 藤田 壮
(029-850-2119)


独立行政法人国立環境研究所と川崎市は、平成21年1月23日に締結した“環境技術による国際貢献を進めるための連携・協力に関する基本協定”に基づく取り組みとして、低炭素社会形成に向けた、世界でも初めての実証的な技術開発研究である「街区エネルギー環境制御システム(UCPS)」研究の一環として、川崎駅周辺街区(約42ha)において、気温や湿度の分布とともに、緑地や水辺、季節風等の地域の環境特性をモニタリングする都市観測研究を実施します。

(注) 街区エネルギー環境制御システム(UCPS:Urban Clustering Protocol System)
室内の温度に加えて外気温・湿度や風向などの街区の計測情報を、インターネットを通じて同時に取り入れ、空調エネルギーを街区単位で効率的に制御するシステム。これまでも、建物単位での制御(BEMS)は行われてきましたが、街区に展開する、世界でも初めての実証的な技術開発研究です。

1.背景 

国立環境研究所と川崎市は、環境技術による国際貢献を進めるための連携・協力に関する基本協定を平成21年1月23日に締結しました。これまでに「アジア・太平洋エコビジネスフォーラム」等の国連環境計画(UNEP)連携事業の共同実施や、産業エコロジーにかかわる国際研究会議の開催など、幅広い協力を行ってきました。また、川崎市が進める環境と経済の調和と好循環を推進し、持続可能な社会を地球規模で実現するための施策である「カーボン・チャレンジ川崎エコ戦略(CCかわさき)」についての研究連携を進めています。

そのなかで、「街区エネルギー環境制御システム」の研究開発においては、温湿度や風向などの街区の計測情報に加え、地域ネットワークや街区の気温などの詳細な情報を取り入れ、空調エネルギーを街区単位で効率的に制御するシステムの開発を進めています。従来から、建物単位での制御(BEMS)は行われていますが、これを街区で展開する技術「UCPS:Urban Clustering Protocol System)」は世界でも初めての技術開発です。

2.目的

今回の都市観測研究では、川崎市の都心部で、施設の屋上や空地での都市気象観測を行うことによって、気温や湿度の分布とともに、緑地や水辺、季節風等の地域の環境特性をモニタリングし、この情報を街区の空調制御を始めとするエネルギー制御に活用し、既存の街区で省エネルギー・低炭素化を実現するための技術開発につなげる検討を行うこととしています。また、都市スケールでの気温分布やエネルギー消費をはじめとする都市環境特性を解析する「都市環境フラックス解析モデル」の構築に活用することもめざしています。

本研究は環境省地球温暖化対策技術開発事業「街区・地域の環境・熱エネルギー制御システム」の一環としても実施しています。

3.都市観測研究の概要

(1)実施体制

  • 観測計画立案、街区気象データ分析
  • 独立行政法人国立環境研究所 アジア自然共生研究グループ
  • 観測地点選定、観測実施支援
  • 川崎市公害研究所(都市環境研究担当)

(2)場所

  • 川崎駅周辺の都心街区(神奈川県川崎市川崎区〜幸区)
    観測対象街区面積 約42ha

(3)内容

  • 1) 街区エネルギー環境制御システム(UCPS)における外気を活用した空調制御シミュレーションの情報収集のための観測の実施
  • 川崎市産業振興会館を中心とする街区微気象データの収集
  • UCPSへの外気環境データの提供
  • 対象建物の高さ方向の気温や風速の提供
  • 2) 街区観測データによる都市環境フラックス解析モデル(都市環境シミュレーションモデル)の検証
  • 連続的な街区微気象の観測・調査を実施
  • 観測データを活用する都市キャノピーモデルの検証
  • 環境技術や異なる土地利用構成(商業地、住宅、高層ビル、緑地など)が、街区および周辺地域の熱環境に及ぼす影響の定量化

(4)観測のための設備

  • 気象観測機器 (大気温度、湿度、風向・風速)
  • 赤外線サーモグラフィ

4.年次計画

平成19年度 都市環境改善技術評価試験
(保水性舗装・透水性舗装冷却効果実証試験)
平成20年度 川崎市臨海部における海陸領域における夏期気象観測の実施
平成21年度 川崎市街区集中観測の実施

(問い合わせ先)
独立行政法人国立環境研究所 アジア自然共生研究グループ
    環境技術評価システム研究室長 藤田 壮(029-850-2119)
川崎市環境局地球環境推進室
    主幹 長瀬 一郎(044-200-2095)

添付資料:都市環境観測位置図、観測仕様図、研究連携体制、UCPS説明図

添付資料

都市環境観測位置図

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都市環境装置の仕様

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国立環境研究所と川崎市の連携・協力の推進体制

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「街区エネルギー環境制御システム」(UCPS)の研究開発

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