記者発表 2009年6月9日

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国立環境研究所特別研究成果報告書の公表について
(お知らせ)

(筑波研究学園都市記者会、 環境省記者クラブ同時発表 )

平成21年6月9日(火)
独立行政法人国立環境研究所
企画部長 松井 佳巳 029-850-2302
環境情報センター長 松本 公男 029-850-2340
【課題代表研究者】    
環境研究技術基盤ラボラトリー長 桑名  貴 029-850-2294
地球環境研究センター長 笹野 泰弘 029-850-2444
循環型社会・廃棄物研究センター長 森口 祐一 029-850-2540
環境リスク研究センター長 白石 寛明 029-850-2455
アジア自然共生研究グループ長 中根 英昭 029-850-2491
【担当】    
環境情報センター 広兼 克憲 029-850-2535


国立環境研究所は、今般、特別研究課題の成果及び第二期中期計画の重点研究プログラムの中間報告として5つの報告書を刊行しましたので、お知らせします。

SR-81-2008 鳥類体細胞を用いた子孫個体の創出(特別研究):桑名貴  
SR-82-2008 地球温暖化研究プログラム(中間報告);笹野泰弘  
SR-83-2008 循環型社会研究プログラム(中間報告):森口祐一  
SR-84-2008 環境リスク研究プログラム(中間報告):白石寛明  
SR-85-2008 アジア自然共生研究プログラム(中間報告):中根英昭

1 報告書・研究成果の概要

SR-81-2008 鳥類体細胞を用いた子孫個体の創出(特別研究) 桑名貴

国立環境研究所では平成14年度から環境試料タイムカプセル化事業の一環として特に鳥類を中心に絶滅危惧動物の組織や細胞を液体窒素を使って凍結保存しています。鳥類細胞に関しては世界で初めての細胞保存バンクです。また、国立環境研究所独自に開発した鳥類細胞の長期継代培養技術を用いることによって、ひとかけらの絶滅危惧鳥類の皮膚から大量の細胞を培養して、これを凍結保存しておけばいつでも希望したときに生きた絶滅危惧鳥類の細胞を利用できます。

「鳥類体細胞を用いた子孫個体の創出」は、培養して増やしてから凍結保存している細胞を活用して子孫個体を創り出すために必要な新しい研究技術を開発するための試みです。本開発研究の成果が実際に応用されることが無ければ良いものの、絶滅危惧鳥類の生息域がますます劣化・圧迫される状況から将来的な安全策として開発しておくべき最先端技術です。

SR-82-2008 地球温暖化研究プログラム(中間報告) 笹野泰弘

本報告書は、当研究所が実施している4つの重点研究プログラムのうちの「地球温暖化研究プログラム」(平成18年度〜22年度)の当初2年間の研究成果を、中間報告として取りまとめたものです。本プログラムは、温暖化とその影響に関するメカニズムの理解に基づいた、将来に起こり得る温暖化影響の予測のもとに、長期的な気候安定化目標及びそれに向けた世界及び日本の脱温暖化社会(低炭素社会)のあるべき姿を見通し、費用対効果、社会的受容性を踏まえ、その実現に至る道筋を明らかにすることを全体目標としています。特に、プログラムの中心をなす4つの中核研究プロジェクト(1)温室効果ガスの長期的濃度変動メカニズムとその地域特性の解明、(2)衛星利用による二酸化炭素等の観測と全球炭素収支分布の推定、(3)気候・影響・土地利用モデルの統合による地球温暖化リスクの評価、(4)脱温暖化社会の実現に向けたビジョンの構築と対策の統合評価、の成果を記載しています。

SR-83-2008 循環型社会研究プログラム(中間報告) 森口祐一

大量生産、大量消費型の社会は、負の側面としての大量廃棄をもたらしたと言われています。当研究所では、この重要な問題に対処するために、平成18年4月に開始した第2期中期計画において、「循環型社会研究プログラム」を重点研究プログラムの一つに設定しました。本研究プログラムの目指すところは、天然資源の消費と廃棄物の発生を抑制し、循環利用する物質の流れを築くことと、廃棄物の適正な管理を担保することを車の両輪として、循環型社会の実現に貢献することにあります。本報告書は、(1)近未来の資源循環システムと政策マネジメント手法、(2)資源性・有害性をもつ物質の循環管理方策、(3)廃棄物系バイオマスのWin-Win型資源循環技術、(4)国際資源循環を支える適正管理ネットワークと技術システム、の4つの中核プロジェクト、さらに予防的・長期的な視点に立った廃棄物管理の着実な実践のための調査・研究など、循環型社会研究プログラムの平成18〜19年度の研究成果を取りまとめたものです。

SR-84-2008 環境リスク研究プログラム(中間報告) 白石寛明

本報告書は、重点研究プログラム「環境リスク研究プログラム」の平成18〜19年度の研究成果を取りまとめたものです。環境リスク研究プログラムは、環境リスク研究センターを実施主体とし、人の健康や生態系に及ぼす有害な影響を、実態に即した調査または実験に基づいて解明することにより、環境リスクとして体系的に評価する手法を見いだし、人の健康と生態系に及ぼす環境からの悪影響の未然防止に貢献していくことを目指しています。本報告書は、(1)化学物質の曝露評価手法、高感受性要因、ナノ粒子及び生態影響評価手法に関する4つの中核研究プロジェクトを中心に、(2)環境政策における活用を視野に入れた基盤的な調査研究の7課題(3)知的基盤として整備された3つのデータベースの成果を紹介しています。生態毒性予測システム「KATE」、 多媒体動態モデルG-CIEMSやデータベース等の成果物は、実際に環境リスク研究センターのホームページからダウンロードや閲覧が可能です。

SR-85-2008 アジア自然共生研究プログラム(中間報告) 中根英昭

本報告書は、重点研究プログラム「アジア自然共生研究プログラム」の平成18〜19年度の研究成果を取りまとめたものです。急速な経済成長を続けているアジア諸国では、日本で高度成長期以来経験してきた大気汚染、水質汚濁、自然破壊などの環境問題が同時に顕在化してきています。これらの問題は、日本を含むアジア全体の問題になってきており、国際的な協力によって取り組むべきものです。本プログラムでは、第2期中期計画(平成18〜22年度)期間に、「アジアの大気環境評価手法の開発」、「東アジアの水・物質循環評価システムの開発」、「流域生態系における環境影響評価手法の開発」の3つの中核研究プロジェクトによって研究を進めています。本報告書では、東アジア規模、北半球規模での光化学オゾンやエアロゾル・黄砂の動態や発生源、長江流域圏等の富栄養化や東シナ海への影響、都市の環境問題、メコン河流域の生態系破壊などについて、具体的な研究成果を報告しています。

2 報告書の内容

国立環境研究所ホームページ(URL:http://www.nies.go.jp/)から閲覧できます。

3 報告書の閲覧・入手について

国立環境研究所の刊行物は、以下で閲覧できます。
○国立環境研究所図書室
○国立国会図書館
国立環境研究所ホームページ(URL:http://www.nies.go.jp/)

報告書の入手を希望される場合、残部があれば頒布いたします(送料本人負担)。
下記へお問い合わせ下さい。

連絡先:環境情報センター情報企画室出版普及係
(TEL: 029-850-2343、E-mail:pub@nies.go.jp)