記者発表 2009年3月9日

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生態毒性予測システム「KATE(ケイト)」のスタンドアロン版の公開及び
インターネット版の更新について
(お知らせ)

平成21年3月9日(月)
環境省総合環境政策局環境保健部
企画課化学物質審査室
直通:03−5521−8253
代表:03−3581−3351
室長:戸田英作(内線6309)
補佐:木野修宏(内線6324)
担当:高木恒輝(内線6329)
 
独立行政法人国立環境研究所
  環境リスク研究センター
    直通:029−850−2653
  センター長:白石寛明


独立行政法人国立環境研究所と環境省は、同研究所により開発された生態毒性予測システム(通称:KATE(ケイト))のスタンドアロン版「KATE on PAS」の新規公開及び改良されたインターネット版「KATE on NET」の公開を行ないます。スタンドアロン版の利用により、KATEの使用にあたり、インターネットへの接続が不要となります。

KATEは生態毒性QSAR(定量的構造活性相関)モデルの1つです。化学物質の構造式等を入力することにより、魚類急性毒性試験の半数致死濃度及びミジンコ遊泳阻害試験の半数影響濃度を予測することができます。

1.生態毒性予測システム「KATE(ケイト)」について

生態毒性予測システム(通称:KATE※1)は、環境省の請負業務として独立行政法人国立環境研究所において開発された生態毒性QSAR※2モデルです。KATEは、化学物質の部分構造等から魚類急性毒性試験の半数致死濃度(LC50)及びミジンコ遊泳阻害試験の半数影響濃度(EC50)を予測することができます。

インターネット版のKATEver0.1(試用版)については、昨年1月から公開しているところですが、KATEのスタンドアロン版「KATE on PAS※3」及び昨年度公開したインターネット版を改良した「KATE on NET」の公開を行ないます(「KATE on PAS」ダウンロード先及び「KATE on NET」アクセス先については、5.参照)。

※1 KAshinhou Tool for Ecotoxicity

※2 Quantitative Structure-Activity Relationship(QSAR: 定量的構造活性相関)
QSARとは、化学物質の構造と性状(有害性)の関係を基に性状を予測するものです。広義には、定性的な対応(例:特定の官能基の有無から物質の有害性の多寡を推測する)も含み、より狭義には、構造を手がかりに有害性(毒性値)等を定量的に算出する仕組み(いわゆる「QSARモデル」)のことを指します。

※3 Platform for Assessment from Structure(PAS)
PASとは、化学物質の構造分類に基づいて、物性や毒性などを予測するための統合システムで、構造式の表示・入力プログラム、部分構造の取得プログラム(FITS: Fragment Identification by Tree Structure)などからなります。予測に必要なデータ部分を追加することで目的とする予測が可能となるように設計されています。部分構造のデータはFITSのルールにより規定されます。

2.スタンドアロン版KATE「KATE on PAS」について

KATE on PASは、KATEのスタンドアロン版として開発されました。これによりKATEの使用に当たり、インターネットへの接続が不要となります。また、これまでユーザより要望のあった化学構造式等についての機密性の保持をより確実なものとして、生態毒性を予測することが可能となります。

昨年度公表したインターネット版では、化学物質の部分構造の取得について商用プログラムを用いていました。しかし、スタンドアロン版において上記商用プログラムを用いる場合は、利用者がそのライセンス費用を負担する必要が生じます。そこで、これに替わる新たなプログラムを構築するため、化学物質の部分構造の取得について独自のプログラム構築の実績がある大分大学と共同研究を行いスタンドアロン版の開発を行ないました。

3.インターネット版KATE「KATE on NET」について

KATE on NETは、昨年度公表したインターネット版KATEver0.1(試用版)の更新版です。

入力情報が同じであればKATE on PAS(スタンドアロン版)と同じ予測結果になります。ただし、ユーザが、LogP(水/オクタノール分配係数)を指定しない場合、KATE on PASとは使用するLogP予測プログラムが異なるため、予測結果の相違が生じることにご留意下さい。

4.参照データについて

KATEの構築に当たっては、環境省が実施した生態毒性試験結果※4及び米国環境保護庁のデータベース※5の魚類急性毒性試験結果を参照データとして用いています。

このうち、環境省が実施した生態毒性試験結果については、最新のデータ(平成20年3月時点)を参照データに追加しました。

※4 http://www.env.go.jp/chemi/sesaku/02.pdf (環境省)

※5 http://www.epa.gov/med/Prods_Pubs/fathead_minnow.htm (米国環境保護庁)

5.「KATE on PAS」ダウンロード先及び「KATE on NET」アクセス先

○ 提供開始時期
・KATE on PAS: 平成21年3月中旬を予定
・KATE on NET: 平成21年3月9日(月)

○ ウェブサイトアドレス http://kate.nies.go.jp/

6.KATEの利用に当たっての注意事項

○ KATEによる予測結果については、十分な予測精度を保証するものではありません。化学物質の生態毒性影響の程度について、参考値を得るためのツールの一つとして御利用ください。

○ 本システムで得られた予測結果は、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」に基づく届出に必要な生態毒性試験結果として利用することはできません。