記者発表 2008年12月26日

ここからページ本文です

化学物質影響類型化システム (pCEC)」サイトの試験公開について
(お知らせ)
(環境省記者クラブ、筑波研 究学園都市記者会同時配付 )

平成20年12月26日(金)
独立行政法人 国立環境研究所
環境リスク研究センター: 白石寛明 (029-850-2455)
担当: 曽根秀子(029-850-2464)


国立環境研究所では、遺伝子発現情報と化学物質の健康影響との関連や、さまざまな疾患との関連性の解明をすすめるため、遺伝子の発現情報に基づいて化学物質を分類するシステム「化学物質影響類型化システム (pCEC, Profiles of Chemical Effects  on Cells)」を国立環境研究所データベース「健康・化学物質」に開設します。当研究所で得られたデータ及び公共データベースから得られた遺伝子発現データをもとに、化学物質の毒性影響や疾患との関連性について解析し、化学物質による健康影響を予測するための資料(pCECシステムという)を作成し、その公開を始めます。 pCECシステムでは、化学構造式、毒性影響及びその影響メカニズムなどの情報に加え、さまざまな化学物質の遺伝子発現レベルでの影響や類似性をネットワーク図で比較することができます。

公開するpCECシステムは、漸次追加、更新していく予定です。将来的には、他の開発中の毒性データ収集システム (ChemToxGen)や健康マルチプロファイリングシステム(mpCEH)とともに、統合的な健康影響予測システム(HEALS(ヒールズ), Health Effects Alert System)の構築を予定しています。

「化学物質類型化システム」サイトの画面イメージ 「化学物質類型化システム」サイトの画面イメージ

pCEC(Profiles of Chemical Effects on Cells)システム作成の目的と意義

環境化学物質の生体への影響を遺伝子発現レベルから理解するための手段として、遺伝子発現情報、化学物質の毒性情報、作用メカニズム情報、疾患情報等を類型化するシステムを開発しています。

今回の公開により、多くの方に毒性反応メカニズムの解明、化学物質の毒性予測及びリスク評価にこのシステムを活用していただくことを期待します。

多種多様な化学物質の生産や非意図的生成物の増加、非意図的な曝露の拡大により、影響評価が追いついていない現状があります。限られた情報からリスク評価を行う手法を開発するためには、現段階で入手可能なさまざまな次元での影響に関する情報を作用機構ごとに分類し、疾患や影響との関連性の検討に資する情報として整備することが必要です。

pCECシステムの内容

pCECは、化学物質の系統分類と、化学物質に影響され得る組織(発現プロファイルデータが得られている組織)との関係性が分かり易いように表現を工夫しています。

トップページには、開発情報及び操作手順に関する情報への入り口や化学物質ごとの遺伝子プロファイルのネットワークの概観図を配置しています。

さらに、5項目(Chemicals、Chemicals expression neighbor、Correspondence Analysis、Search、Chemical selector)からなる次ページへの入り口と、任意の時間間隔で更新されるChemical Today情報(化学構造式及び化学物質基礎情報及び遺伝子発現情報を表示)を配置しています。

主要機能について

プロジェクト・タブの選択

本システムにおける「プロジェクト」とは、毒性作用部位にもとづく一連の実験データをまとめたものです。各プロジェクトには、作成年_被験体_作用部位 からなる名称が付けられており、プロジェクトごとに、独立した形式を取ります。

Chemicals

毒性やメカニズムごとに分けられた化学物質名のリストが表示されています。化学物質名による分類の結果をみることができます。

Chemicals expression neighbor

化学物質を曝露して得られた遺伝子発現プロファイルデータをネットワーク図で表示しています。遺伝子発現レベルによる化学物質の影響の類型が一目でわかる仕組みになっています。

Correspondence Analysis

遺伝子発現情報に基づく化学物質の相関関係を理解するためのものです。これらの相関関係は、化学物質の構造式には依存していません。

Search

本システムに搭載されている全データから任意のデータをキーワードで検索できます。また、遺伝子発現値のZ-scoreからの検索が可能です。

Chemical selector

毒性やメカニズムなどの分類項目、目的の化学物質の毒性カテゴリー。メカニズムカテゴリーの三段階で表示しています。

「化学物質影響類型化システム(pCEC)」サイトの公開は、平成21年1月19日を予定しています。
国立環境研究所のホームページ(http://www.nies.go.jp/)にて紹介いたします。