記者発表 2007年3月30日

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国立環境研究所特別研究成果報告書(4件)の公表について(お知らせ)
(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ同時配布)

平成19年3月30日(金)
独立行政法人国立環境研究所
   企画部長 加藤  正男 (029-850 -2302)
環境情報センター長 山本  秀正 ( -2340)
企画・広報室長 佐藤  邦子 ( -2304)
課題代表研究者(1) 畠山  史郎 ( -2502)
課題代表研究者(2) 藤巻  秀和 ( -2518)
課題代表研究者(3) 柴田  康行 ( -2450)
課題代表研究者(4) 野原  精一 ( -2501)


概要

国立環境研究所では、平成17年度に終了した特別研究4件について、その成果をとりまとめた報告書を刊行しましたので、これを公表します。

(1) 大陸規模広域大気汚染に関する国際共同研究
(研究期間:平成13〜17年度、研究代表者:畠山  史郎)

(2) 有害化学物質情報の生体内高次メモリー機能の解明とそれに基づくリスク評価手法の開発に関する研究
(研究期間:平成15〜17年度、研究代表者:藤巻  秀和)

(3) 有害フッ素化合物等POPs様汚染物質の発生源評価・対策並びに汚染実態解明のための基盤技術開発に関する研究
(研究期間:平成15〜17年度、研究代表者:柴田  康行)

(4) 湿地生態系の自然再生技術評価に関する研究
(研究期間:平成15〜17年度、研究代表者:野原  精一)

1  研究の背景と目的

(1) 大陸規模広域大気汚染に関する国際共同研究

東アジア地域は大気環境の面で、今や世界で最も注目を浴びている地域である。NOxやSO2の放出量は、ヨーロッパや北米では20世紀後半以降横ばい又は減少傾向であるのに対し、アジア地域では大幅な伸びを示している。中でも中国は巨大な人口を抱え、急速な工業化を進めているため、主要な大気汚染物質発生源として注目されてきた。本研究では、現在の中国で問題となっている硫黄酸化物系の大気汚染と、今後益々重要となる窒素酸化物・光化学大気汚染が混在する広域の大気汚染について観測及びモデルの分野から研究するとともに、中国をフィールドとした共同研究から、今後インドや東南アジアで予想される大陸規模の広域大気汚染の現象を解明し、その管理・制御に資することを目的とした。

(2) 有害化学物質情報の生体内高次メモリー機能の解明とそれに基づくリスク評価手法の開発に関する研究

近年、居住環境が原因と考えられる「シックハウス症候群」や「多種化学物質過敏状態」(いわゆる化学物質過敏症)の増加が報告され、いずれも室内などに存在している比較的低濃度の化学物質の影響が関与して健康を害していると考えられている。最近の居住環境による健康影響を評価する際、室内濃度レベルの揮発性化学物質による健康不良の誘導は、これまでの毒性発現の機構では説明できない反応がおきている可能性がある。低濃度域での揮発性化学物質の曝露による神経―免疫軸を中心とした機能への影響については、国際的にも報告が非常に少ない。本研究では、神経―免疫―内分泌系の機能の中で情報の蓄積される記憶の機構に焦点をあて、比較的低濃度の揮発性有機化合物の影響を明らかにすることを目的とした。

(3) 有害フッ素化合物等POPs様汚染物質の発生源評価・対策並びに汚染実態解明のための基盤技術開発に関する研究

PCBやダイオキシン類等の残留性有機汚染物質(POPs)への国際的な取り組みを規定するストックホルム条約には、新たな規制物質を追加する仕組みが備えられている。その追加候補として、意図的に作られる化学物質の中からパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)などの一連の有機フッ素系界面活性剤を、また非意図的生成物質の中から多環芳香族炭化水素(PAHs)を選び、それぞれに対して効果的な対策立案に資する基礎情報を提供できる研究基盤技術開発を進め、あわせて汚染実態調査を進めた。

(4) 湿地生態系の自然再生技術評価に関する研究

多くの湿地は近年の工業化・農地化によって埋め立てられ、都市域では河川河口域にのみ僅かに自然が残っている状況である。それらの湿地生態系の機能を再生させ、より良い環境を取り戻すには、人工湿地を含めた湿地の再生・創造が不可欠である。しかし、自然の節理を無視した再生・創造では持続可能な生態系を確保できない。そのため、より自然に近い湿地生態系の自然再生実験等によって自然の節理を学び、湿地生態系の再生及び管理・事業評価を実施する必要がある。本研究では自然再生事業に先立つ理念・シナリオの形成を行い、野外調査及び再生実験等から基礎的知見を得て、持続可能な湿地生態系の再生技術の検討を行うと同時に、再生評価手法を開発することを目的とし、湿地生態系への自然再生技術を定量的・客観的に、物質循環的機能の観点から評価する手法の検討を行った。

2  報告書の要旨(別添のとおり)

・  このリンクはPDFデータにリンクします/ 大陸規模広域大気汚染に関する国際共同研究(特別研究) [1,492KB]

・  このリンクはPDFデータにリンクします/ 有害化学物質情報の生体内高次メモリー機能の解明とそれに基づくリスク評価手法の開発に関する研究(特別研究) [373KB]

・  このリンクはPDFデータにリンクします/ 有害フッ素化合物等POPs様汚染物質の発生源評価・対策並びに汚染実態解明のための基盤技術開発に関する研究(特別研究) [627KB]

・  このリンクはPDFデータにリンクします/ 湿地生態系の自然再生技術評価に関する研究(特別研究) [344KB]

3  報告書の閲覧・入手についての問い合わせ先

●  国立環境研究所の刊行物は、以下で閲覧することができます。
○  国立環境研究所図書室
○  国立国会図書館
また、国立環境研究所ホームページにおいて閲覧することができます。

(URL:http://www.nies.go.jp/

※  報告書本体の入手を希望される場合、頒布(送料要負担)もしていますので、下記へお問い合わせ下さい。但し、残部がある場合に限ります。

連絡先:環境情報センター情報企画室出版普及係
(TEL: 029-850-2343,   E-mail:pub@nies.go.jp)


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