「都市化・発展の道筋と炭素の関係」に関する国際会議の開催について(お知らせ)
(環境省記者クラブ、筑波学園都市記者会同時発表)
平成19年3月20日(火) | |||
独立行政法人国立環境研究所(029-850-ダイヤルイン番号) | |||
地球環境研究センター長 | 笹野 泰弘 | (2444) | |
同センター主席研究員 | 山形与志樹 | (2545) | |
グローバル・カーボン・プロジェクトつくば国際オフィス | 事務局長 | ソバカル・ダカール | (2672) |
地球温暖化対策に関する国際研究計画「グローバル・カーボン・プロジェクト(GCP)」は独立行政法人国立環境研究所及び国際応用システム分析研究所 (IIASA, オーストリア)の共催により、2007年3月28〜30日に国立環境研究所において、国際会議「都市化・発展の道筋と炭素の関係」を開催します。本国際会議には、都市と地域のダイナミックモデル、都市と地域の炭素管理、空間分析、統合分析モデルの重要な研究者や、都市化に関する情報収集機関の専門家など、8カ国から23名が参加します。
1. 会議の概要
期 間 | : | 平成19年3月28日(水)〜30日(金) |
場 所 | : | 独立行政法人国立環境研究所(茨城県つくば市) |
主 催 | : | グローバル・カーボン・プロジェクト |
共 催 | : | 独立行政法人国立環境研究所、国際応用システム分析研究所 (オーストリア) |
運営委員会 | : | グローバル・カーボン・プロジェクト(GCP)つくば国際オフィス |
共 同 議 長 | : | ソバカル・ダカール(GCPつくば国際オフィス事務局長) アーノルフ・グルーブラ(国際応用システム分析研究所 教授) |
本国際会議では、都市化と炭素排出の関係に関し、「我々が何を知り、何を知らないか」「どのようなデータや情報が存在するか」「将来の低炭素都市・地域に何が必要か」について最新の情報に基づいて議論します。また、当該分野のフォーラムもしくは研究者間ネットワークの構築を目指します。
2. グローバル・カーボン・プロジェクト(GCP)
グローバル・カーボン・プロジェクト(GCP)は、グローバルな炭素循環にかかわる自然と人間双方の側面とその相互作用について、自然科学と社会科学を融合した分析を実施し、国際的な炭素循環管理政策の策定に役立つ科学的理解を深めることと目的とした国際研究計画です。スポンサーは地球環境変動にかかわる国際研究計画(IGBP、IHDP、WCRP、DIVERSITAS)(注)の連携による「地球システム科学パートナーシップ」です。
GCPは、炭素循環に関する研究の国際的リーダーシップをとり、地球温暖化対策に関する政策に資する知見の比較やとりまとめ、提言を行います。また、GCPは、観測のリーダーシップである統合地球観測戦略パートナーシップ(IGOS-P)やアセスメントのリーダーシップである気候変動に関する政府間パネル(IPCC)との連携を行っています。(詳細は http://www.globalcarbonproject.org/(英語) を参照下さい。)
GCPは、その活動を推進するために世界に2つの国際オフィスを設置(つくば市、オーストラリアのキャンベラ)しており、独立行政法人国立環境研究所はつくば国際オフィスを受け持っています。
GCPでは、地球温暖化による気候変動を抑制するため、主要な温室効果ガスである二酸化炭素の排出を大幅に削減した「低炭素社会」に向けた発展に対する総合的な科学理解と活動を目指したプロジェクト「都市と地域の炭素管理(URCM)」を推進しています。本国際会議はURCMプロジェクトの一環として開催し、都市の発展と温室効果ガス排出増加の関係について議論を行います。
(注) | IGBP | 地球圏−生物圏国際協同研究計画 |
IHDP | 地球環境変化の人間社会側面に関する国際研究計画 | |
WCRP | 世界気候研究計画 | |
DIVERSITAS | 生物多様性科学国際協同プログラム |
3. 会議開催の背景
大気中の温室効果ガス(GHG)濃度の安定化には、今後数十年の都市化の進展は非常に重要な要素です。現在及び将来のGHGの全球、国別、地域別、生態系別の排出は徐々に分かってきましたが、都市やその周辺地域というレベルでは将来のGHG排出の推計に未だ不十分な点が残っています。全地球のエネルギー消費に占める都市部の割合は85%に及び、都市化とGHG排出の関係を理解することが非常に重要です。GHG排出の要因やパターンについての深いが、社会や政治にポジティブな影響を与える可能性があり、都市や地域の意志決定者に対しては、長期にわたる低炭素社会の構築や、二酸化炭素(CO2)固定策についての適切な情報になります。
現在、世界の住民の約半分が都市域に住んでおり、発展途上国では都市化が急速に進んでいます。2000年の先進国の都市人口は全体にの75%、10億人以下でした。一方、発展途上国の都市人口の割合は40%の20億人でした。しかし、発展途上国の都市人口は2015年には30億に達すると予測されています。発展途上国の急速な都市化は、炭素排出に重要な意味を持ちます。そして都市化・都市発展に伴うエネルギー利用の集約化と人間活動の自然生態系への浸食は、国境を越えた世界的なスケールで環境に影響を与えます。都市化や開発行為は、都市化とGHG排出に関する科学的理解と、国境を越えた問題に対処する政治的な側面をあわせ持ちます。