記者発表 2006年8月30日

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「都市と地域における炭素管理:地域開発とグローバル問題の関係」に関する第1回国際会議開催のお知らせ
(環境省記者クラブ、筑波学園都市記者会発表)


平成18年8月30日(水)
独立行政法人 国立環境研究所 地球環境研究センター
グローバル・カーボン・プロジェクトつくば国際オフィス
事務局長  ソバカル・ダカール
主席研究員  山形与志樹

グローバル・カーボン・プロジェクト(GCP)主催による第1回国際会議「都市と地域における炭素管理:地域開発とグローバル問題の関係」が 2006年9月4〜8日に首都自治大学(メキシコシティー)で開催されます。本国際会議では、20カ国以上から、自然科学研究者、社会学研究者のみならず、各機関の意思決定に携わるアドバイザー等、約150名が参加し、地球温暖化の原因となるCO2排出の都市・地域レベルで抑制する試みや、都市と地域の連携によるCO2排出の抑制方法に関して議論を行います。

国立環境研究所は、本国際会議の共催者として積極的な支援を行っています。

1. 会議開催の背景

http://www.gcp-urcm.org/ より

http://www.gcp-urcm.org/ より

GCPが主体となって2005年10月から推進している「都市と地域の炭素管理:Urban and Regional Carbon Management (以降URCM)」は、様々な規模の炭素管理研究や活動の比較を行う活動です。地域開発の方法は、社会の経済や制度と密接に関係しつつ変化していくと考えられます。この地域開発によって土壌中に蓄積された炭素が大気中に排出されるため、地球温暖化抑制の観点からも、今後の地域開発の方法が変化していくことが予測されます。一方、都市は地域開発と炭素排出の両面から重要かつ複雑な役割を担っています。まず都市は炭素循環や気候の変化の原因となる活動の中心です。都市が炭素収支に与える影響の範囲(フットプリント)は、エネルギーや資源の要求に比例する形で、広く遠くに及んでいます。また都市は文化的中心であり、消費行動変化の誘発や、技術開発の推進を行う場所です。この消費行動変化と技術開発推進によってCO2排出抑制を行うことは、地球温暖化対策の重要な柱の一つです。これらの課題に対し、本国際会議では、以下の目的とテーマを定め、討議を行います。


2. 会議の目的とテーマ

本国際会議は次の目的のもと開催されます。

(a) CO2排出の過程及び要因の包括的解析手法の開発
(b) 低炭素社会促進に向けた、炭素管理戦略と最適時期の検討
(c) 地域共同体のURCM活動への参加拡大

また、本国際会議では「都市と地域の協力による低炭素社会への道筋と、低炭素社会におけるCO2排出と気候の安定化の可能性」について下記の4テーマに焦点を当てて議論を行います。

1. 炭素の流れの計測と観測
2. 炭素フットプリントの形態と脆弱性およびモデル化
3. 地域開発がCO2排出に与える影響
4. 都市/地域における環境緩和の機会・制約・挑戦

3. 会議参加者

本国際会議には20カ国以上から約150名の研究者や意思決定関係者等が参加し、80以上の発表とポスターセッションが行われます。

4. サイドイベントとポストカンファレンス

本国際会議では2つのサイドイベントとポストカンファレンスにワークショップが開催されます。

・ 2006年9月6日   「都市・地域炭素管理における高等教育者の責任と機会、展望」
・ 2006年9月6日   「アメリカ大陸における都市開発の主導に関するワークショップ」  後援:全アメリカ地球変動研究機関(IAI)
・ 2006年9月10日   「都市化と生物地球科学−気候間相互作用」  後援:新IGBP

5. グローバル・カーボン・プロジェクトとは?

グローバル・カーボン・プロジェクト(GCP)は、グローバルな炭素循環にかかわる自然と人間の両方の側面とその相互作用について、自然科学と社会科学を融合した分析を実施し、国際的な炭素循環管理政策の策定に役立つ科学的理解を深めることと目的とし、地球環境変動にかかわる国際研究計画(IGBP, IHDP, WCRP, DIVERSITAS)の連携 による「地球システム科学パートナーシップ」がスポンサーとなって発足した国際研究計画です。GCPは炭素循環に関する研究の国際的リーダーシップをとり、地球温暖化対策に関する政策に資する知見の比較やとりまとめ、提言を行います。また、GCPは、観測のリーダーシップである「IGOS-P」やアセスメントのリーダーシップである「IPCC」との連携を行っています。(詳細は http://www.globalcarbonproject.org/ を御参照下さい)

GCPは、その活動を推進するために世界に2つの国際オフィスを設置しており、国立環境研究所はそのうちのひとつ(つくば国際オフィス、ソバカル・ダカール事務局長)を受け持っています(他のひとつは、オーストラリアのキャンベラ国際オフィス)。今回の国際会議には、つくば国際オフィスからはソバカル・ダカール事務局長と事務局スタッフが参加します。

6. 問い合わせ先

独立行政法人国立環境研究所
地球環境研究センター
グローバル・カーボン・プロジェクトつくば国際オフィス事務局長  ソバカル・ダカール
主席研究員  山形与志樹
Tel: 029-850-2545    Fax: 029-850-2960
Email: shobhakar.dhakal@nies.go.jp, yamagata@nies.go.jp