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1 研究の背景と目的 (1)アレルギー反応を指標とした化学物質のリスク評価と毒性メカニズムの解明に関する研究う。 アレルギー疾患が急増し、新たな「国民病」となっている。疾患増加の要因として、遺伝と環境の変化を挙げ得るが、遺伝要因よりむしろ、環境要因の急変によるものと考えられている。 環境要因の変化として、居住環境、食環境、衛生環境、水・大気・土壌環境の変化等を想定すると、いずれにも化学物質汚染が共通に介在している。 当研究所では、ディーゼル排気微粒子がアレルギーを増悪するメカニズムを検討・調査してきたが、その増悪作用が化学物質による可能性があることが示唆されてきた。 そこで、本研究は、いくつかの化学物質がアレルギー疾患に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 (2)中国における都市大気汚染による健康影響と予防対策に関する国際共同研究 中国の大都市では、急速な近代化とともに大気汚染が深刻化している。大気中浮遊粒子(PM10)濃度は日本に比べ高いことが報告されているが、健康への影響が大きい微小粒子(PM2.5)濃度の現状はほとんど明らかになっていない。 そこで、地域暖房のための石炭燃焼に、自動車や工場からの大気汚染が加わっている中国東北地方の瀋陽市や撫順市、鉄嶺市をフィールドとし、季節や粒径別の大気中微小粒子濃度、さらに粒子中の多環芳香族炭化水素などの有害成分含有量を明らかにすることを目的とした。 また、都市住民の個人曝露濃度も室内・屋外濃度と併せて実測し、環境濃度(屋外濃度)と個人曝露濃度との関係も明らかにした。 さらに、児童の継続的な肺機能測定などにより、現状の大気汚染による健康影響の程度を評価することを目的とした。
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