(参考) 世界分類学イニシアティブ(Global Taxonomy Initiative)について
生物多様性条約の実施にあたり、地球全体をとおして名前すらわからない多くの生物種が保全の対象となるため、科学的根拠にもとづく保全計画の立案すら困難と指摘された。
分類学は生息生物種の特徴を記載し、学名を与え、体系的に生物種をとらえる基盤的な学問であり、生物多様性の保全には不可欠の学問領域であるにもかかわらず、その専門的研究者数と研究に必要な基準標本・基準株の保存施設は世界的に著しく減少している。
そこで、条約の実施のため緊急に分類学の振興をとりおこなうため、第5回締約国会議決議によって、締約国は世界分類学イニシアティブの中核となる機関を設置することとなった。日本では国立環境研究所がその任にあたっている。第6回締約国会議では、世界分類学イニシアティブの具体的な作業計画を採択した。
作業計画では下記の5つの目標をかかげ、目標の実施には先進国と途上国が地域協働でとりくみ、締約国は既存の国連プログラムや研究ネットワーク間の適切な連携による目標の達成をはかる。
- 分類学のニーズとキャパシティに関する実態調査 (緊急実施)
- 分類学と関連科学の人的資源・インフラの整備
- 分類学情報資源の国際共有化
- 生物多様性条約テーマ課題への分類学知識の利用
- 生物多様性条約横断的テーマ課題への分類学知識の利用
今回マレーシアで開催するワークショップでは目標の1に関する調査報告と、目標の2、3について調査にもとづくアジア地域のGTI実施計画を検討し、生物多様性条約事務局への報告をとりまとめる。
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