要 旨
国立環境研究所では、このほど以下の3編の報告書をとりまとめたので公表する。
(1)都市域におけるVOCの動態解明と大気質に及ぼす影響評価に関する研究
(2)大気エアロゾルの計測手法とその環境影響評価手法に関する研究
(3)流域環境管理に関する国際共同研究
これら3課題のうち、(1)は国立環境研究所の特別研究として平成10〜12年度に、(2)は開発途上国環境技術共同研究として平成8〜12年度に、(3)は重点共同研究して平成8〜12年度に実施した。
課題(1)では、VOC(揮発性有機化合物)が大気質に及ぼす影響を評価することを目的として、固定発生源や移動発生源からのVOCの排出量の推計に関する調査・研究、VOC成分の測定システムの開発とフィールドにおける実態把握調査・研究、風洞実験や数値モデルを用いた発生源と環境濃度との関連性評価に関する研究を行った。
課題(2)では、世界的にも都市大気エアロゾルによる汚染が著しい中国において、都市大気エアロゾルの科学的特徴と土壌起源系エアロゾル(黄砂を含む)の寄与及び環境化学的ふるまいを明らかにするために、長期モニタリングを行った。分析結果を基に北京都市大気中に含まれている化学成分種の長期変動を明らかにするとともに、土壌起源系エアロゾルの寄与率を見積もった。また、土壌起源系エアロゾルが大気中でどのような環境化学的挙動をするのか実証試験を行った。
課題(3)では、近年めざましい社会経済的発展を遂げている中国長江流域を対象に、持続可能な開発を行うための流域管理手法を国際的連携のもとに開発し、我が国の流域環境に関する技術体系を総合化することを目的として、衛星モニタリング手法と広域現地観測により、長江流域の水環境と生態系基礎構造をメソスケールで観測した。さらに、流域生態系に及ぼす環境変化の影響評価のための数理モデル化を進めた。
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