成長形:被覆状〜準塊状群体。
軟体部の色彩と特徴:褐色〜緑色。生時でも、きれいな多角形の個体、厚い莢壁、規則正しく配列する隔壁を認識できる。
骨格の特徴:個体は多角形で、その配列は完全なセリオイド型。莢の長径は7〜1.4mmだが、1cm前後の個体が多い。莢壁は厚さ1mm前後で、隔壁に比べると厚く緻密に見える。隔壁は通常4次まで発達し、ほぼ同じ厚さ。莢壁上縁で突出せず、莢心に向かって緩やかに傾斜する。隔壁上縁には大きさと間隔の揃った鋸歯がほぼ等間隔でよく発達する。そのため莢内は浅く見える。鋸歯と隔壁の側面には小さな顆粒状の装飾がよく発達する。1次・2次隔壁は、軸柱まで達する。3次隔壁が軸柱に達することは稀だが、そのすぐ近くまで伸長する。4次隔壁は短く、伸びても低次隔壁の2/3ほど。軸柱は明瞭で、長径が1.5mmほどの円形〜やや楕円形。
生息環境:礁斜面や岩礁斜面の水深10m以浅や、開放的な湾で見られる。
国内での分布:種子島以南。種子島では稀。
補足:本種のタイプ産地は北大東島。本種はVeron et al. (1977) でFavites chinensis シナキクメイシのシノニムにされている。しかし本種はシナキクメイシより莢径が大きく、シナキクメイシ(本ガイド未掲載種)のようにプロコイド型になることや、隔壁内縁にパリやパリ状葉が形成されることはない。本種はFavites abdita カメノコキクメイシ(本ガイド未掲載種)とも混同されている可能性があり、国内での生息状況については再検討が必要。
西平・Veron (1995)での出現記録:○
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