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パネルディスカッション in アゴラ
パネリストを紹介します!

ボルネオ保全活動で活躍する大学生、中島なつ子さん

中島さんの写真

プロフィール
名前 中島なつ子さん

所属 ボルネオ保全学生グループ(SGBC)大学生副代表/筑波大学生物資源学類2年

環境に興味を持ったきっかけ
高校2年の時、マレーシア・ボルネオ島に渡航。生物多様性と環境問題の現場に直面する。大学は生物資源の保全・持続的活用を探求する学部に進学。

質問、中高生ボルネオスタディツアーはどんな活動ですか?

 今年は8月9日から16日にボルネオ島のサバ州を中高生約20人が訪問しました。ツアーのまとめ役をしたのがボルネオ保全学生グループ(SGBC)です。

 ツアーでは、現地にホームステイしつつ、プランテーション(大規模農場)や野生生物の保護施設の見学、熱帯雨林のトレッキング、そして現地の学生との交流も実施しました。

 ボルネオ島は元来、熱帯雨林が豊富で「野生生物の宝庫」と言われていますが、50年ほど前から植物油(パーム油)を産出するアブラヤシのプランテーションが盛んになり、熱帯雨林が伐採され、貴重な野生生物がすみかを追われています。

 それらの問題を事前に調べてツアーに参加します。

質問、ツアーを経験して参加者は変わりますか?

 変わりますね。現場を経験すると、大きな衝撃を受けます。その衝撃がきっかけで、日本で行動を起こしてくれる中高生が多い。

 実は、現地にいくことについては、「別に行かなくても日本にいても(ボルネオの)調査はできる」「ツアーに行ってどんな結果になるの?」と聞かれることがあります。

 また、参加して帰国しても、「じぁ、自分に何ができるか」と考えたとき、なかなか「正解」はなくて、もやもやしている人も多い。

 でも、現地での経験はとても大きい。参加して意識や暮らし方が変化する人もいます。現地を知ることがまず大切ということ、そして、それが行動につながっているということを、今回のパネルディスカッションでは伝えたいです。

質問、現地で衝撃を受けるということですが、どんな衝撃ですか?

 2つあります。ひとつはボルネオの自然の豊かさです。

 熱帯雨林の生物のおもしろさに圧倒されます。野生動物の保護施設では、傷ついた動物の姿にもショックを受けます。

 私がツアーに初めて参加したのは、3年前ですが、その時は、原生林を伐採して誕生した、広大なプランテーションを実際にみて「こんな壮大なことをやっているのか」とびっくりしました。事前に調査をして言葉では知っていましたが、直接見ると、開発の迫力を実感しました。

 もうひとつは、現地の中高生と交流したときのことです。これも3年前のツアーで実感したのですが、これは思い通りに行かなかったことが衝撃でした。

 彼らとはプランテーションなどをいっしょに回って、仲良くなったのですが、話題が日本のアニメなどが多くて、彼らは環境問題には関心がなかった。

 ある時、親しくなった人の自宅を訪問したのですが、それが豪邸で、お父さんは建設業を営んでおられました。ボルネオの経済はプランテーションに支えられていることを実感しました。

 私はボルネオ島の自然保護について意見交換したかったのですが、彼らを前にすると、環境問題を持ち出したり、「原生林は守るべきでは」などとは言ったりできなかったのです。

 その後、交流が進んで、様々な人たちに出会い、ボルネオの自然を保全するにはどうするかという話し合いができるようになりましたが、当時は、意見交換のできなかったことがショックでした。

ボルネオでの活動の様子

 ボルネオ島の自然保全のために、自分に何ができるんだろうと考えるとき、現場の人たちの暮らしや考え方ももっと知りたいと思いました。

 自然を切り開いてまでビジネスをしていることに私が疑問を感じても、現場にはそのことで暮らしを支えている人がいる。

 だからこそ、その人たちといっしょに考え、議論できるようなツアーにしたいと思っています。

質問、参加した中高生はどんな活動をしているのですか?

 今年のツアー後のミーティングでは、さまざまなアイデアが出ました。ボルネオの昆虫図鑑作りや、プランテーション問題を知ってもらうためのビデオ制作などがすでに始まっています。

 ヤシ油を購入し利用しているのは日本の消費者で、そもそもプランテーション産業を支えているのは私たちの暮らしでもあるので、その点をどう見直すかを考え始めるようになったと思います。

 これまでの消費の仕方を見直したい、持続可能な暮らしを目指そう、と盛り上がっています。

質問、活発ですね

 でも、簡単ではありません。

 ツアーに参加した経験を、帰国して家族や友人に話そうとすると、うまく伝わらないというか、孤立することがあるのもよく聞きます。周りの人たちとの温度差を感じている。それで落ち込むこともあります。

 それで、参加者同士でチームをつくって、プロジェクトを実行し、環境問題に関心のある人たちをつなげる試みを始めています。

 温度差を感じて落ち込んだ反動で、もっと伝えたいという意欲が高くなっています。

ツアーに参加した学生と現地の人の団体写真
質問、最後に、今回のパネルディスカッションは「ポスト環境問題」」というタイトルにしました。中島さんは「環境問題」というとどのようなイメージを持っていますか?

 環境問題というと、動植物の保護など生きもの、生物がテーマであることが多かったように思います。

 でも、自然や生物というのは、すべての人、生物の暮らしにかかわっているので、持続可能な暮らしを作っていくことが、これからの環境問題のイメージだと思います。

 私たちの日本での暮らしぶりを見直そうということにもつながるのですが、でも、自分の暮らしに対する罪悪感にとらわれるとしんどくなり、前に進めなくなってしまいます。

 今の暮らしをやめてくれてとは言わないけれど、暮らしの背景に何があるのかを知ること、環境に対するアンテナを高くすることが大事だと思います。

これまでの中島さんの活動

高校2年の時、マレーシア・ボルネオ島に渡航。生物多様性と環境問題の現場に直面する。
大学は生物資源の保全・持続的活用を探求する学部に進学。
大学入学後、自身が高校生の時に参加したツアーの企画者となる。現地住民と日本の中高生が暮らしのあり方を議論し、見直せるようなツアーを目指して、今夏「第4回中高生ボルネオスタディツアー」を催行した。
ボルネオ保全学生グループのHPはこちら↓
http://www.sgbc.jp/

パネルディスカッション「ポスト環境問題」開催のお知らせ

 対話オフィスは、11/10(土)10時半から東京・お台場のテレコムセンターで、パネルディスカッション「ポスト環境問題 ~公害⇒環境⇒次にくる未来に希望を見出すには?~」を開催します。

 次世代を担う高校生、大学生のパネリストとして、今回ご紹介した中島さんも参加します。

 若者が未来にどのような思いを描き、社会に何を問うのでしょうか?専門家も交え、参加者の皆さんと一緒に、これからの社会について考えます。
※本イベントは、サイエンスアゴラの一企画として開催します。サイエンスアゴラの公式HPはこちら
※対話オフィスのサイエンスアゴラのイベントページはこちら

イベント概要と申し込み

ポスト環境問題
~公害⇒環境⇒次にくる未来に希望を見出すには?~


日時
2018年11月10日(土)10:30~12:00

会場
テレコムセンタービル 8階 会議室A
(東京都江東区青海2-5-10)
http://www.tokyo-teleport.co.jp/b/tel/access.html

対象
どなたでも(内容は高校生以上を想定)

参加費
無料

定員
100名

申し込み
なるべく事前に、こちらのフォームよりお申し込みください。(11/8締切)
https://project.nies.go.jp/events/scienceagora_taiwa/form.cgi
※当日参加も若干名、受け付けます。