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2017年度夏の大公開 環境サイエンスカフェ②

環境問題解決に向けて私たちにできることは?
-夏の大公開2017で環境サイエンスカフェを開催しました-

1.はじめに

 社会対話・協働推進オフィス(以下、対話オフィス)が昨年度から始めている環境サイエンスカフェ。今年の夏の大公開(7/22)では、「環境サイエンスカフェ-環境問題の解決に向けて私たちは何をしたらいいの?」と題して、1日に2回開催しました。テーマはそれぞれ「生物多様性」と「資源・廃棄物」です。

各回とも30人近くの参加があったサイエンスカフェ。親子連れも多く、小学生からも率直な声を聞くことができました。

 カフェでは、テーマを専門とする研究者がまず発表をして、それに対して、別の専門分野の研究者が自らの研究経験を生かした問いかけをするという仕組みにしています。問いかけをするのがいわば“つっこみ役”です。そうすることで、一つの課題を色々な角度から考えるきっかけができれば、と考えました。
 「生物多様性」の回では、日本最大の淡水魚であるイトウを研究する福島路夫・主任研究員(生物・生態系環境研究センター)が北海道での調査結果をもとに発表しました。“つっこみ役”は、林岳彦・主任研究員(環境リスク・健康研究センター)です。
 「資源・廃棄物」の回で取り上げた話題は小型家電です。寺園淳・副センター長(資源循環・廃棄物研究センター)が「あなたの家の小型家電をさがそう」とのタイトルで発表し、それに対して藤井実・室長(社会環境システム研究センター)が“つっこみ役”をつとめました。

>>「生物多様性」の回はこちら

2.資源・廃棄物/小型家電のリサイクル、何が正しいか

 「資源・廃棄物」がテーマの回は、小型家電という身近な話題を選びました。カフェのタイトルは「あなたの家の小型家電をさがそう」。

 家庭のさまざまな電化製品(家電)は、使い古して処分するときにどうすればいいのでしょうか。廃棄する方法を間違うと、火災などの災害につながる危険があります。また、家電の中に使われているいろいろな素材(鉄、銅、アルミ、金など)は、廃棄するためのルールを守れば、取り出して再利用できます。ルールを守らなければ、再利用できる素材も使えなくなってしまい、“もったいない”ことになります。

 「資源の循環」というテーマを、自分の家のなかにあるいろいろな電化製品から考えてみようというのが、この回のねらいです。発表者の寺園さんは、自宅にあった掃除機を買い替えるときの自身の経験から話を始めました。

誰もが身近に見つけられる小型家電をテーマに、資源の有効活用と環境負荷の軽減という視点から話をした寺園さん。

 つくば市のクリーンセンターに掃除機を粗大ごみとして持ち込むと、ばらばらにされて資源が取り出されて再利用されます。しかし、寺園さんが調査した日本各地のスクラップ置き場では、掃除機やエアコンまでもが解体されないまま混じっていることがよくあります。このようなスクラップ置き場では火災が起こることがよくあり、また鉄などは輸出先の中国で再利用されると考えられますが、その確認ができません。

 なぜ掃除機がルール通りに処分されないのでしょうか。その背景として、「不用品回収」の例をあげました。使わなくなった家電を無料で集めて、まだ使えるものは海外で中古利用しますが、中古でも使えない場合は解体をせずにスクラップ置き場に持ち込んでいる例が多いようです。無料で引き取ってもらえる「不用品回収」につい頼ってしまいがちですが、適正なリサイクルをしないことで思わぬ火災などにつながったり、資源の再利用ができない可能性があるという問題があります。
 また、携帯電話・スマートフォン(スマホ)の場合はどうでしょうか。使用年数が短いことや小さいことなどから、買い替えても家に置いたままで処分しないことが多いですが、役所やスーパーなどにある小型家電BOXに入れておくと、素材(鉄、銅など)を取り出して再利用することができます。

 会場では、「スマホ模型」を紹介しました。中には、電池パック、ICチップ、スピーカーなど部品の名前がついた小さな箱が並べてあり、その箱を取り出すと、金、ニッケル、鉄など素材の名前のラベルが出てきます。どの部品にどんな素材が使われているのかがわかります。

参加した小学生たちは、スマホ模型に集まって、面白そうに小さな箱を取り出していました。

 発表に続いて、“つっこみ役”の藤井実・環境社会イノベーション研究室長(社会環境システム研究センター)から、「家電は、資源回収に出すより、家庭で保管して鉄や金などの素材が値上がりするのを待って高くなる時に売った方がいいのではないでしょうか。資源回収に出すと損しませんか?」と質問が出ました。
 寺園さんは「家電にある素材は量が少ないので、値上がりといっても大きな金額にはなりません。むしろ、“もったいない”というのは、一人ひとりが得するかどうかというより、社会全体として、得をする、資源を無駄なく使おうということ」と、社会への視点を示しました。

 回の後半で、使用済みの小型家電を家に置いたままにしているか参加者に尋ねたところ、半数ほどの手が挙がりました。回収に出さない理由として、「携帯やカメラはデータ漏洩(ろうえい)の心配がある」「何かの機会に使えるかもしれない」などが挙がっていました。では、社会全体で回収率を上げるためにどうしたらいいかを問いかけると、小学生の男児から「個人情報を漏れないようにすることが大事」と大人顔負けの意見が聞かれました。

3.参加者の意見は?

 各回とも終了後にアンケートを実施し、テーマについて各回では聞き切れなかった参加者の意見や考えを集めました。そのうちのいくつかを紹介します。

 市民の率直な意見が、環境問題に取り組む研究に示唆をもたらすことは多くあります。これからも引き続き、環境研究についてざっくばらんに意見交換できる場を設けていきたいです。

>>「生物多様性」の回はこちら