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高CO2時代に対応したサンゴ礁保全に資するローカルな環境負荷の閾値設定に向けた技術開発と適応策の提案(令和 2年度)
Technical development and adaptation strategy to find local environmental threshold for coral reef conservation under high CO2 age

予算区分
BA 環境-推進費(委託費) 4-1907
研究課題コード
1921BA013
開始/終了年度
2019~2021年
キーワード(日本語)
二酸化炭素増加,サンゴ礁保全,環境負荷
キーワード(英語)
CO2 increase, coral reef conservation, environmental stress

研究概要

今後ある程度の人為的なCO2増加が避けられない状況の中で、社会が依存する生態系サービス への変化にどう適応していくかが大きな課題である。わが国でも、亜熱帯沿岸における主要生態系の一つであるサンゴ礁生態系が、地球的規模の環境変化に鋭敏に応答することが知ら れており、特に高水温ストレスによって起こる、生態系の基盤構成生物である造礁サンゴ類 (以下「サンゴ」とする)の大規模白化現象は1990年代以降に頻発している。一方で、サンゴに負の影響を与えるローカルな環境要因として、陸域からの赤土等の流出や栄養塩負荷に よるサンゴの生育環境の悪化が知られているが、温暖化に伴うサンゴ減少と、陸域影響による被害増加や回復阻害の実態は不明な点が多い。赤土流出の対策としては、1995年から赤土等流出防止条例が施行されているが、河川が発達していない島嶼特有の水循環は複雑で把握されておらず、栄養塩負荷に対する対策は未だない。本研究では、野外調査での栄養塩負荷 量を反映させた複合ストレス実験を実施してサンゴ石灰化-環境パラメータ間の関係式を構築 し、高CO2時代を想定したサンゴ礁への環境負荷の閾値・政策オプションを提示する。研究成果は地域社会の様々なステークホルダーと共有し、対話・協働しながら、陸と海とを一体的 に捉えた統合的沿岸管理の枠組み作りを通した健全な水循環を構築することで、農業・畜産 業の発展とサンゴ礁生態系の回復の両立を目指す。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

本サブテーマでは、島嶼特有の水循環と栄養塩負荷の実態を把握し、現在IPCCによって提案されているCO2増加シナリオでの高水温・酸性化海水を想定した実験区に、ローカルな環境要因としての陸域起源の負荷(栄養塩等)を考慮した複合ストレスによるサンゴへの影響評価を行う実験系を確立し、サンゴの健全な生育を保証する環境要因の閾値を明らかにする。これらのアプローチから得られた数値を用いて、CO2増加シナリオに沿ったサンゴ石灰化-環境パラメータモデルを構築し、石灰化能の増減を基に、環境負荷の閾値を浮き彫りにする。

今年度の研究概要

他のサブテーマの野外調査・室内実験より得られたデータを用いて、水温のほか、酸性化、蓄積型リン酸塩によるサンゴへの複合影響についての統合的解析を行い、地理的スケール予測へと繋げる土台を作る。

外部との連携

テーマリーダー:井口亮(産業技術総合研究所)
サブテーマリーダー:安元純、中村崇、酒井一彦(琉球大学)、安元剛(北里大学)

課題代表者

熊谷 直喜

  • 気候変動適応センター
    気候変動影響観測研究室
  • 主任研究員
  • 博士(理学)
  • 生物学,理学
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