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ニホンイヌワシの保全を目指した比較ゲノムアプローチ(平成 31年度)
Molecular genomic research on preservation of Aquila chrysaetos.

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1720CD001
開始/終了年度
2017~2019年
キーワード(日本語)
ドラフトゲノム配列
キーワード(英語)
draft genome sequences

研究概要

ニホンイヌワシは、北半球に広く分布するイヌワシの6亜種のひとつで、国内の推定個体数がわずか500羽と、絶滅が危惧されており、繁殖成績も芳しくない。本研究では、同じく絶滅の危機に陥ったものの、現在は個体数が回復しつつある北ヨーロッパの亜種の調査グループと国際連携し、イヌワシで唯一公開されている北米の亜種のゲノム配列をリファレンスとして、ゲノムリシーケンスを行い、生態情報や、病原体に対する感受性の差異と、ゲノム配列の差異を比較し、無限分裂培細胞を整備して、健康や繁殖に関与する遺伝子の機能を解明し、ニホンイヌワシの亜種の特性を明らかにする。さらに、個体ごとの遺伝子型の情報により、飼育や繁殖への貢献を目指す。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

1.培養細胞の整備と活用:飼育個体や事故死した野生個体に由来する組織を用いて、培養細胞株を樹立する。無限分裂細胞化を行い、多様な用途に応用できるツールを整備する。培養細胞からはゲノム解析に理想的な状態の高分子、高純度のゲノムDNAを抽出できるため、ゲノム解析の速度を加速することができる。また細胞を用いて感染性や遺伝子多型の機能差を確認する。
2.ゲノムリシーケンス:別亜種の北米イヌワシ(A. c. canadensis)で報告された全ゲノム配列(Doyle et al., 2014)をリファレンスとして、ニホンイヌワシと北ヨーロッパイヌワシの全ゲノムのリシーケンスを行う。
3.生態・獣医学的調査:ニホンイヌワシについて、まずは動物園のフンやペレット(吐きだした食べかす)でトリインフルエンザなど感染症の獣医学的予備調査を行い、対象の絞り込みを行い、野生試料でも調査する。繁殖成功などの生態情報を収集する。
4.機能遺伝子の検出:2で得られた塩基配列から、多様性情報を免疫や繁殖関連の遺伝子周辺を中心に一塩基多型(SNP)を探索し、3の調査情報と比較し、1の培養細胞で検証する

今年度の研究概要

今年度も高病原性鳥インフルエンザに着目し、国内の野鳥、特に猛禽類における高病原性鳥インフルエンザの発生状況に関する情報収集を継続する。また、イヌワシMx遺伝子の構造解析等を行う。

外部との連携

京都大学、岩手大学

課題代表者

村山 美穂

担当者