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ヒ素曝露による線維芽細胞の細胞老化を介した発癌機序の解明(平成 30年度)
Investigation of the mechanisms of arsenic-induced carcinogenesis via cellular senescence of fibroblast

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1820CD010
開始/終了年度
2018~2020年
キーワード(日本語)
ヒ素,線維芽細胞,細胞老化,発癌
キーワード(英語)
arsenic, fibroblast, senescence, carcinogenesis

研究概要

世界中で汚染が問題となっているヒ素は、慢性中毒によって皮膚、肺、肝臓等の上皮細胞に癌を引きおこすことが知られている。ヒ素などの化学物質曝露が誘導する酸化ストレスやDNA損傷は細胞老化を引きおこすことが報告されている。細胞老化はこれまで細胞の防御機構として考えられてきたが、近年線維芽細胞の細胞老化が、SASPと呼ばれる分泌現象を介して上皮細胞の発癌促進作用を持つ可能性が指摘されている。本研究では、各臓器に存在する線維芽細胞に着目し、三価の無機ヒ素および有機ヒ素化合物の曝露が線維芽細胞において、どのような機序によって細胞老化を誘導するか明らかにする。さらに、線維芽細胞の細胞老化が上皮細胞の発癌促進を誘導するか検討し、ヒ素による発癌機序の一端を解明する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

本研究では「慢性ヒ素中毒による上皮細胞の発癌機序は、ヒ素曝露による線維芽細胞の細胞老化によるSASPを介した作用なのか」を明らかにする。
具体的には(1)各臓器由来の線維芽細胞において、ヒ素曝露はどのような機序によって細胞老化を誘導するか。(2)無機ヒ素、有機ヒ素化合物によって細胞老化の誘導能がどの程度異なるか。(3)ヒ素曝露によって誘導された線維芽細胞の細胞老化はSASP因子の産生を行っているか。(4)産生されたSASP因子は上皮細胞の細胞増殖を促進するか。を検討する。
実際の方法としては(1)(2)に対して、肝臓および皮膚由来のヒトおよびマウス線維芽細胞の細胞株および初代培養細胞に、三価の無機ヒ素である亜ヒ酸ナトリウムおよび三価の有機ヒ素化合物であるDMA(?)とMMA(?)の曝露を行う。曝露後、細胞老化の検出のため、顕微鏡による細胞の形態学的な変化の検出、XTT法等による細胞増殖の変化の測定、Real-time PCR法による細胞老化マーカーP21、P16、P15の遺伝子発現量の測定、SA-β gal染色による老化細胞の検出を行う、また、細胞老化が観察された場合、機序の検討としてテロメア長の測定、酸化ストレスマーカーおよびTgf-β経路の遺伝子発現量の測定を行う。また、(3)に対しては細胞老化が誘導された条件において、SASP因子の遺伝子発現変化ををReal-time PCR法によって測定する。具体的にはIL-1β、IL-6、IL-8(マウスではGro-α)、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)に着目し、測定を行う。さらに、発現増加が認められたSASP因子に関して、ELISA法による培地中の産生量の測定を行う。最後に(4)に対して XTT法等を用いた線維芽細胞の培地上清による上皮細胞培養時における増殖変化の測定を行う。

今年度の研究概要

三価の有機ヒ素化合物を作製する。
無機ヒ素および三価、五価の有機ヒ素をマウスおよびヒトの肝星細胞細胞株へ曝露を行い、細胞老化が誘導されるか明らかにする。また細胞老化が誘導された場合にはその機序を検討する。

関連する研究課題

課題代表者

岡村 和幸

  • 環境リスク・健康研究センター
    病態分子解析研究室
  • 研究員
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