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環境で攻撃性を司る神経回路はどの程度変化するか?:遺伝と環境の交点を探る(平成 30年度)
To what degree is the neural circuit controlling aggression affected by environment?: Searching for the intersection of gene and environment.

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1820CD006
開始/終了年度
2018~2020年
キーワード(日本語)
攻撃性,内分泌かく乱,鳥類,脳
キーワード(英語)
Aggression, Endocrine disruption, Aves, Brain

研究概要

他者との関係性構築が困難な発達障害の急増が社会問題となっており、一部の児童・生徒の表現型として起こる行為障害・暴力といった問題行動増加の原因究明が求められている。攻撃行動発現は遺伝要因・環境要因の双方で制御されるが、近年の問題行動増加の背景には環境要因が強く関わると推測される。ところが、(1)遺伝要因と環境要因は各々攻撃性の形成にどの程度寄与するのか?(2)各々の要因に影響を受ける神経回路はどの程度独立/重複しているのか?といった基本的な点が未解明であり、環境要因が問題行動増加の原因となるプロセスを理解するための学術基盤が不足している。本研究では遺伝的に異なる攻撃性を示す2系統の鳥類を用いて、攻撃関連遺伝子群が環境影響でどのように変化するか検討し、遺伝要因に影響をうけず「環境要因に高い感受性を示す攻撃関連神経回路」を同定することで、環境要因による問題行動増加を生物学的に理解する糸口を見出す。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

鳥類を材料として神経行動学・分子生物学的な手法を用いて攻撃行動に関わる分子基盤を遺伝・環境要因に着目して明らかにする。さらに、攻撃性を変化させる代表的な環境要因として内分泌かく乱物質を取り上げ、内分泌かく乱物質曝露が環境要因に高い感受性を示す攻撃関連遺伝子発現にどのように影響するか、以下の3つのサブテーマから明らかにする。
(1) 攻撃関連遺伝子群の同定:攻撃性が異なる2系統を用いて視床下部の遺伝子発現を比較し、特にメソトシンの下流で働き攻撃行動発現に関わる遺伝子群に着目して詳細解析を行うことで、遺伝因子・環境因子双方に影響を受けやすい神経回路に関する仮説を構築する。
(2) 攻撃関連遺伝子発現の制御機構の解明:環境要因に高い感受性を示す攻撃性関連遺伝子発現を制御する因子を同定し、環境に影響を受け易い仕組みを探る。
(3) 環境因子による攻撃関連遺伝子発現変化の解明:エストロゲン様作用を持つ内分泌かく乱物質を曝露された鳥類の遺伝子発現・エピジェネティック変化を検討し、攻撃行動を司る分子基盤を形成する遺伝子のうち、環境に影響を受けやすい遺伝子群を確定する。

今年度の研究概要

攻撃性の異なる鳥類の視床下部から抽出したRNAサンプルを用いて系統間で異なる発現量を示す遺伝子の網羅的探索を行う。その際、既に攻撃性との関連が指摘されている遺伝子(メソトシン, GnIH (Ubuka et al. Gen. Comp. Endocrinol. 2013)、ステロイド合成酵素(Schlinger et al. Endocrinology 1989))にも着目して、他の遺伝子発現との相関を検討する。また申請者が環境影響を受けやすいと仮定する「テストステロン→メソトシン経路」下流に存在する遺伝子群を探索するとともに、遺伝子個々の機能的特徴を精査し、遺伝・環境の影響の受けやすさの観点からの群分けを行う。

関連する研究課題

課題代表者

前川 文彦

  • 環境リスク・健康研究センター
    生体影響評価研究室
  • 主任研究員
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