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PM2.5の成分組成、酸化能、呼吸器疾患ハザードとそのモデル予測に関する研究(平成 30年度)
Studies on PM2.5 composition, oxidative potential, health hazard and
their model prediction

予算区分
BE 環境-推進費(補助金) 5-1605
研究課題コード
1618BA001
開始/終了年度
2016~2018年
キーワード(日本語)
PM2.5,酸化能,モデル
キーワード(英語)
PM2.5,Oxidative stress,model

研究概要

PM2.5環境基準の実施に伴い、曝露・リスク評価が喫緊の課題となっている。他方、PM2.5は重量濃度で定義されるが、実際は多様な成分組成、粒径分布を持ち、それらは大気中で時々刻々変化する。従って、PM2.5重量が同じでも気塊の由来が異なると粒子の化学・物理特性が異なり、リスクも異なると予想される。言い換えると、PM2.5重量はリスク発生の本態ではない。そこで本研究では、欧米を中心に健康有害指標の一つとして着目され研究が盛んになっている粒子の酸化能、Reactive Oxygen Species (ROS) に着目し、疫学調査ではなく現場大気観測から、PM2.5と呼吸器炎症の因果関係を化学・物理・生物学的視点から明らかにし、数値モデルを活用して空間的、時間的な変動を調べ、重量濃度をベースとした環境政策の妥当性を評価することを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

PM2.5酸化能を1時間間隔で連続自動測定できる装置を新規開発し、また高い酸化能を持つとされている金属と有機物(酸化ストレス原因物質とここでは呼ぶ)の同時測定を実施する。粒径分布と吸湿性が異なれば気道沈着率が1桁異なるため、電子顕微鏡−自動分析システムを用いて金属と有機物の担体となる粒子の粒径・吸湿性レンジを明らかにする。加えて細胞曝露実験および因子分析を活用し、発生源−原因物質−酸化能−酸化ストレスを定量的に関連付ける。そして、上記知見を集積した3次元化学輸送・気道沈着結合モデルを用いて、酸化能の気道沈着率と呼吸器疾患ハザードの発生源別の寄与率と時空間変動を明らかにする。観測・モデル両面から重量濃度ベースのリスク評価との違いを明らかにする。重量濃度は高いが酸化能が低い事例、またその逆を抽出し、その頻度・要因を明らかにする。本成果は、呼吸器疾患のリスク低減のために優先的に規制すべき対象の特定に活用できるため、社会・経済的な意義がある。本手法は、循環器疾患リスク評価への応用も期待できるため、将来的な発展性も高く見込まれる。

今年度の研究概要

酸化能の連続自動測定の開発に協力する。2018年5月に福岡市での試験観測期間に酸化能評価および細胞曝露実験のためのPM2.5採取を実施する。酸化能の連続測定器の試作機の運用期間と同期して、酸化能のオフライン分析を行う。また、採取した試料による酸化ストレスをHO-1アッセイにより評価する。

外部との連携

代表 サブ1 梶野瑞王 (気象研究所)
サブ2 大畑昌輝 (産総研)
サブ3 NIES
サブ4 萩野浩之 (日本自動車研究所)

備考

研究経費はサブ3分

課題代表者

藤谷 雄二

  • 環境リスク・健康領域
    統合化健康リスク研究室
  • 主幹研究員
  • 博士(工学)
  • 工学
portrait

担当者

  • 古山 昭子