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開発の進む東南アジア熱帯の地域社会における生態系サービス利用量の決定機構の解明(平成 30年度)
Ecosystem services in the developing rural society in Southeast Asia

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1618CD009
開始/終了年度
2016~2018年
キーワード(日本語)
生態系サービス,ボルネオ,水資源,生物資源,生物多様性,先住民,地域社会
キーワード(英語)
Ecosystem services, Borneo, Water resources, Bioresources, Biodiversity, Indigenous people, Local community

研究概要

生態系サービスの利用量は、供給側である生態系の特性だけでなく、社会の需要とのバランスによって決定される。生態系サービスの持続的利用のためには、利用量の決定機構を理解する必要があるが、未だ理解に至っていない。その理由の一つは、需要側の知見不足にある。利用量の決定機構における需要の重要性を明らかにするためには、需要の増減を駆動する要因を考慮する必要がある。申請者のこれまでの調査から、東南アジア熱帯において開発が生態系サービスの需要の増減に大きく関与していることが示唆された。そこで本研究では、開発に対する需要の増減の反応が対照的である生物資源、水資源のサービスを対象とし、開発が需要と供給に与える影響と利用量を決定する機構を解明することを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

本研究では(1)生物資源と(2)水資源の生態系サービスを対象とし、開発の需要と供給への影響を考慮して利用量の決定機構を解明する。対象地域は、マレーシア・サラワク州の開発が迫る地域とする。初年度は(1)生物資源の需要と利用を聞き取り調査し、植物・動物の種多様性を野外調査で明らかにする。(2)水資源については、水源ダムに流量計の設置し水利用量を実測し、需要を聞き取り調査する。次年度以降、(1)生物資源の利用指数を開発し、定量的な評価を行う。(2)水資源供給モデルを用いて水域全体で水供給ポテンシャルを推定する。最後に、提唱した仮説を基に各サービスにおいて開発、需要、供給、利用量の相互関係を共分散構造解析によって分析し、利用量の決定機構と利用量に対する需要の相対的な重要性を評価する。

今年度の研究概要

(1)生物資源
生物多様性の調査がほぼ完了したので、過去の森林率、森林のコネクティビティなどの要因が、現在の種多様性にどのように影響しているかを統計解析によって明らかにする。特に、植物・動物のそれぞれの種の形質が、森林率への応答への時間に関係すると考えられるので、それぞれ予測される仮説を検証する形で解析する。また、生物資源の利用状況や需要などの観点を含めた解析も行い、生物多様性と利用の関係も明らかにする。
(2)水資源
水質の変動のデータについて解析を進めて、保存林からの生活水の相対的重要性を評価する。超音波流量計は有効であることが予備調査から確認されたが、レンタル料が高額であるため、今年度の予備の結果をパラメータとして用いることとして対応したい。
上記の解析をもとに、それぞれの生態系サービスの需要と供給の関係性について明らかにし、比較を行う。

外部との連携

研究分担者:地球環境戦略研究機関、自然資源・生態系サービス領域、鮫島弘光

課題代表者

竹内 やよい

  • 生物多様性領域
    生物多様性評価・予測研究室
  • 主任研究員
  • 理学博士
  • 生物学,林学
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