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セメント水和物とアルカリの相互作用の計算科学によるコンクリートの超長期耐久性向上(平成 29年度)
Improvement of ultra-long term durability of concrete by computation science of the interaction between cement hydrates and alkalis

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1719CD020
開始/終了年度
2017~2019年
キーワード(日本語)
セメント水和物,アルカリ相互作用,固体NMR,量子力学計算,分子力学計算
キーワード(英語)
cement hydrate, alkali interaction, solid state NMR, quantum mechanics calculation, molecular dynamics calculation

研究概要

本研究課題は,種々の組成のセメント系水和物(C-A-S-H)とアルカリイオンの相互作用について,量子力学計算と分子動力学計算の計算科学による水和アルカリイオンの吸着挙動基礎解析により原子・分子レベルでその相互作用解明する。さらに固体NMR などによるC-A-S-H の構造推定とアルカリイオンの吸着状態評価から計算結果の妥当性を評価するとともに,多元素物質移動モデルの鍵となるセメント水和物と空隙水の熱力学的相平衡モデルを高度化する。最終的にこれらの結果を活用し,過酷環境におけるコンクリートの超長期耐久性の向上方策を提案するものである。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

本研究課題は,種々の組成のセメント系水和物(C-A-S-H)とアルカリイオンの相互作用について,量子力学計算と分子動力学計算の計算科学による水和アルカリイオンの吸着挙動基礎解析により原子・分子レベルでその相互作用解明する。さらに固体NMR などによるC-A-S-H の構造推定とアルカリイオンの吸着状態評価から計算結果の妥当性を評価するとともに,多元素物質移動モデルの鍵となるセメント水和物と空隙水の熱力学的相平衡モデルを高度化する。最終的にこれらの結果を活用した,過酷環境におけるコンクリートの長期耐久性の向上方策を提案するものである。具体的には,上述した目的に合わせて3 テーマに分類して検討を行う。
本研究課題では,上述した目的を達成するため,以下の3 テーマに分類して,検討を進める。
テーマ1:セメント水和物とアルカリイオンの相互作用のモデル基盤の構築
テーマ2:セメント水和物とアルカリイオンの相互作用の実験的検討
テーマ3:過酷環境下におけるコンクリートの超長期耐久性向上方策の提案

今年度の研究概要

異なる遷移金属塩のフェロシアン化物を合成し,Csの吸着特性を測定する。フェロシアン化物によるKとCsの吸着に伴うケミカルシフトをNMRで測定する。さらに,量子力学計算により,遷移金属塩の種類ごとのエネルギーの安定化を評価する。その上で,実験,測定,計算の結果を亜waste考察する。
C/S, A/S比の異なるC-(A-)S-Hを合成し(1年目は限られた水準のみ),Na, K, Csに対する吸着平衡実験を行う。Na, K, Csの吸着によるケミカルシフトを個体NMRにより測定する。同時に,Si, Alの測定も行い,合成物の結晶構造を明らかにし,吸着試験の結果を補正する。
アルカリ元素の吸着平衡をモデル化するために,上記の吸着実験をC-(A-)S-Hの溶解平衡モデルに取り入れる改善を行う。
研究協力者と連携し,分子動力学計算により,C-(A-)S-Hと水和アルカリの相互作用を評価する。まず,既存のモデルにより計算対象とするC-(A-)S-Hの構造の最適化を化学反応を考慮できるソフトウェアにより行う。適切なC-(A-)S-Hの配置を考え,C-(A-)S-H間と水とイオンの濃度を設定する。その上で,動力学計算を行い,各種イオンの安定化位置と水和構造を調べる。
動力学計算の結果を受け,量子力学計算に必要な基本的な原子の座量情報を設定する。計算機の能力に依存するが,取り扱える範囲を限定するため,考慮する本質的シリケートチェーンの範囲を決定する。その上で,アルカリイオンを配置し,エネルギーの安定化計算を行う。さらに,アルカリイオンのケミカルシフトも計算する。
動力学計算と量子力学計算の結果を比較し,整合性を確認し,必要であればモデルの改善を行う。量子力学計算の検証には,NMRによる測定との比較を行う。
平成30年度以降に必要な研究内容を1年目の成果をもとに再構築する。

外部との連携

北海道大学・大学院工学研究科・物質化学専攻・電子材料化学研究室 田地川浩人助教(量子力学計算)
地方独立行政法人 東京都立産業技術研究センター 事業化支援本部 技術開発支援部 先端材料開発セクター 渡邊禎之主任研究員(固体NMR測定)
University of the Basque Country UPV/EHU Department of Condensed Matter Physics Assistant Professor Hegoi Manzano (分子動力学計算)

課題代表者

山田 一夫

  • 福島地域協働研究拠点
    廃棄物・資源循環研究室
  • フェロー
  • 博士(工学)
  • 材料工学,工学,地学
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