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凍土動態を考慮した全球陸域統合モデルによる将来予測(平成 29年度)
Future projection of greenhouse gas release from large-scale permafrost degradation by integrated terrestrial model

予算区分
BE 環境-推進費(補助金) 2-1605
研究課題コード
1618BE001
開始/終了年度
2016~2018年
キーワード(日本語)
永久凍土,温室効果ガス放出,気候変動
キーワード(英語)
permafrost,greenhouse gas release,climate change

研究概要

永久凍土の大規模融解は、現地の生活や生態のみでなく地球規模の気候変動にも影響を及ぼす一方で
北極域の土地利用を困難にし、資源開発による自然破壊を促進する問題でもある。その機構と影響の理解と科学的知見の蓄積には国際的・社会的な要請がある。本研究では、永久凍土大規模融解による北極陸域変化の現状と予測に関する科学的知見を蓄積することを目的とする。

国立環境研究所が担当するサブテーマ3では、研究代表者らが開発した、陸面物理過程・陸域生態系物質循環を記述する陸域統合モデルに、凍土動態モデルおよび有機炭素量・分布に関する推定値(サブテーマ1・2の結果)を組み込むことにより、永久凍土の融解が全球的な炭素収支と気候変動に与える影響を定量的に評価する。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

海洋研究開発機構が担当するサブテーマ(1)および北見工業大学が担当する(2)による観測・分析結果と地下氷・有機炭素量の環北極域分布図を利用し、本研究課題(サブテーマ3)において、将来の温室効果ガス放出量を推定し,全球的気候変動への寄与を評価する。

海洋研究開発機構が担当するサブテーマ(1)では、各種リモートセンシング技術および現地測量を組み合わせた流域〜地域スケールの永久凍土融解量の定量的評価法(失われる地下氷の体積と融解速度の空間分布を得る)を確立すること、また気候・地形等を入力とする地下氷・有機炭素収支モデル(ボックスモデル)を開発によって得られる最終氷期以降の蓄積量を基に環北極域空間分布を推定する。

北見工業大学が担当するサブテーマ(2)では、凍土および地下氷試料を広域的に採取し、実験室における分析によって永久凍土中の有機炭素(温室効果ガス)含有量を把握することを目標とし、サブテーマ1と連携して永久凍土大規模融解によって炭素循環に組み込まれる得る有機炭素量を見積もる。

国立環境研究所が担当するサブテーマ(3)では、陸面物理過程・陸域生態系を記述する陸域統合モデルに、永久凍土動態モデルを組み込むことにより永久凍土消長が全球的な炭素収支と気候変動に与える影響を評価する。

今年度の研究概要

永久凍土融解の将来予測に用いる全球数値モデルを、これまでは気候モデルMIROCに含まれる、陸面過程を計算するモデル(MATSIRO)であったものを、大気、海洋、陸面の全ての過程を計算できる最新の地球システムモデルMIROC-ESMに置き換えた。さらに、永久凍土の融解による地下水面の変化が、メタン放出に与える影響を評価できるようにモデルの改良を行なった。新たに開発したモデルと、前年までに導入を進めて来た、凍土物理過程の高度化も取り入れて、凍土融解によるメタン放出の推定を行なった。二酸化炭素濃度を現在の二倍にして、大気、陸面モデルを利用した計算を行なったところ、メタン放出量は現在よりも低下する結果となった。これは、温暖化に伴い、永久凍土の存在する高緯度地域で乾燥化が進むことと関係すると考えられる。今回の結果は、本プロジェクトでターゲットとする高含氷永久凍土層である「エドマ層」の寄与は含まないものである。今後は、サブテーマ(1)によって得られる成果を利用し、初期条件と境界条件にエドマ層の効果を取り入れることで、永久凍土融解の将来予測を行う。

外部との連携

永久凍土動態を記述するモデルを開発するために、海洋研究開発機構の研究者と連携する。また、永久凍土の現地調査を行うため、海洋研究開発機構、北見工業大学、アラスカ大学の研究者と連携を行う。

課題代表者

横畠 徳太

  • 地球環境研究センター
    気候変動リスク評価研究室
  • 主任研究員
  • 理学博士
  • 地学
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担当者