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中国都市大気汚染物質の毒性評価と機序解明に向けた研究(平成 28年度)
Effects of airborne particulates in China on lung cells

予算区分
AQ センター調査研究
研究課題コード
1416AQ003
開始/終了年度
2014~2016年
キーワード(日本語)
PM2.5,黄砂,マクロファージ,上皮細胞,炎症
キーワード(英語)
PM2.5,sand dust,macrophage,epithelial cell,inflammation

研究概要

中国都市大気は近年、悪化の一歩を辿っており、様々な呼吸器系疾患の発症との関連が危惧されている。中国では石炭等の化石燃料の燃焼によって発生する比較的粒子系の小さいPM2.5や砂漠の砂から発生する黄砂といった微粒子が問題となっており、そうした大気微粒子は日本にも飛来してくる。本研究では、中国都市大気の微小粒子による呼吸器系への影響について、in vitro実験系を中心に毒性影響及びその機序について調べる。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

呼吸器系である肺は様々な細胞で構成されているが、特に異物の排除に貢献しているのがマクロファージと上皮細胞である。マクロファージは免疫系の細胞として肺に侵入した異物を取り込んで消化すると共に、肺に炎症反応を引き起こすことで異物の排除に働く。また、上皮細胞は肺胞を構築する細胞であり、肺の恒常性維持に必要な生理活性物質を産生するとともに、炎症時には様々な遊走因子を産生して肺に炎症性細胞を呼び寄せる役割を担う。さらに、喘息といった呼吸器系疾患はアレルギー性の疾患であり、様々なアレルゲンに対する免疫反応が関与する。この様に、呼吸器系病態には様々な細胞が関与するため、それぞれの標的細胞への影響解析や相互作用に対する評価も必要である。本研究では、各標的細胞に対する影響および肺での毒性機序の解析を行う。

今年度の研究概要

PM2.5が及ぼすマクロファージでの炎症および酸化ストレスにおける重金属の役割を調べた。重金属キレート剤のdesferrioxamine(DFO)の効果を調べたが、抑制効果は見られなかった。また、重金属類が残存する加熱PM2.5で調べた結果においても、影響は見られなかった。これらの結果から、PM2.5が及ぼす影響において重金属が果たす役割は、本研究の条件では弱いものと推測された。
気道上皮細胞での粘液物質産生に対するPM2.5の影響を調べた。H292細胞にPM2.5を曝露したところ、ムチン遺伝子(MUC5ACおよびMUC5B)の発現量が増加した。これらの影響はアリール炭化水素受容体(AhR)の阻害剤で抑制された。このことから、PM2.5に含まれる多環芳香族炭化水素類(PAH)がムチン遺伝子の誘導に関与していると考えられた。

外部との連携

大分県立看護科学大学と国立保健医療科学院との共同研究

関連する研究課題

課題代表者

伊藤 智彦

  • 環境リスク・健康研究センター
    生体影響評価研究室
  • 主任研究員
  • 博士 (環境科学)
  • 薬学,生化学
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