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北海道東部・風蓮川流域における流域保全対策が草地・沿岸域双方の生産活動に与える影響 −森里川海の物質の環・地域住民の環の再生をめざして−(平成 26年度)
Influence of watershed environmental conservation on the production activities of both grassland and coastal areas in Furengawa watershed in Eastern Hokkaido

予算区分
KZ その他公募
研究課題コード
1315KZ005
開始/終了年度
2013~2015年
キーワード(日本語)
生態系サービス,河川水質モデル,シナリオ分析
キーワード(英語)
ecosystem services, river water quality model , scenario analysis

研究概要

近年、陸域と沿岸河口域を一体的に捉え、その環境保全に留意すべしという認識が高まっている一方で、「つながり」の重要性が理念として認識されていても、その実体が明らかでなく、そのために保全・再生の方法論が未だ確立されていない。
人口密度が低く、人口減少が続いている北海道においては、陸域から沿岸域への負荷は、ほとんどの場合農業地帯からもたらされている。河口域で営まれる漁業は、集水域の終末に位置するため、漁場環境が良好に維持されるかどうかは、上流(陸域)側の生産活動のあり方次第という受動的な立場に置かれやすい。そのため漁業者-農業者間であつれきが生じることになる。しかし、北海道では農業も水産業も重要な基幹産業であり、環境保全のためにいずれかの生産活動の抑制・排除を行うことは、自治体にとっては現実的に不可能である。そこには地域ごとの診断(沿岸環境悪化のメカニズム解明)とそれに基づく具体的な保全シナリオが必要である。
本研究では、風蓮湖およびその流入河川の水質改善対策を効果的に進めるため、(1) 物質循環モデルによる流域の時系列評価と対策案(選択肢)の提示、(2) 対策案ごとの陸域・沿岸域の生態系サービス(とくに生産サービス)の評価、(3) 評価内容に対する上下流住民それぞれの意識調査と合意形成上の課題抽出を行い、これらの成果として (4) 上下流の連携が循環するシステムを検討し、地元NPOや住民との協働により試行することを最終的な目標とする。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

全体計画:
2014年度まで
1 風蓮川本支流、風蓮湖における採水分析の実施
流域内に複数の調査地点を設定し 採水および分析を行う。(栄養塩: ( NO3-N、NH4-N、PO4-P,Si)溶存鉄、溶存有機炭素、浮遊砂、粒状有機物)
2 陸水および汽水域の物質循環モデルの構築
陸水域ではSWATモデルなど, 汽水域では汽水域生態系モデルなどを用いて物質循環モデルの構築を行う。モデルに投入するデータとしては1に加えて既存水質資料を用いるためこれらのGISデータベース化もあわせて行う。
3 訪問面接法による聞き取り調査の実施
事前、周辺情報が何もない段階での上下流住民の流域保全や環境変化に対する意識調査を行う。

2015年度
・物質循環モデルの構築とそれに基づく流域環境の現状評価および可視化を実施
・現状認識後の住民に対する意識調査
・流域内の環境の歴史的変遷を整理した上で複数の将来シナリオ(土地利用・営農)の作成
・各シナリオについて生態系サービスの評価を実施 (InVEST等)
・シナリオ(生態系サービス評価付き)提示後の意識調査・ワークショップ開催 (対象:上下流住民、自治体関係者、地元NPO)

今年度の研究概要

SWATモデルを用いた風連川流域における栄養塩流出予測

外部との連携

研究代表: 長坂晶子 北海道立総合研究機構 林業試験場 主査

関連する研究課題
  • 0 : 生物・生態系環境研究分野における研究課題

課題代表者

三島 啓雄