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溶存無機炭素の同位体組成による新たな流域診断指標の構築(平成 26年度)
Freshwater environmental analysis by using 13C and 14C natural abundances in dissolved inorganic carbon

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1214CD017
開始/終了年度
2012~2014年
キーワード(日本語)
溶存無機炭素,炭素安定同位体比,放射性炭素濃度,炭素循環
キーワード(英語)
dissolved inorganic carbon, delta13C, Δ14C, Carbon material cycling

研究概要

河川水中の溶存無機炭素は主として流域の土壌呼吸由来の炭酸ガスが溶け込み地下水へと押し出されて出てきたものであることから、集水域に負荷された分解性有機物についての情報を得ることができ、河川へ流出する有機物プールに比べ、流域の炭素代謝の総合指標として適している。さらに、溶存無機炭素の濃度と同位体組成(δ13C, Δ14C)を組み合わせることで溶存無機炭素の由来(土壌呼吸、大気、炭酸塩)と主たる分解基質を解析することができるが、網羅的に研究された例はほとんどない。本研究は石灰岩地帯を含む多様な水試料を採水し、δ13C, Δ14Cから導かれる新たな同位体指標を創出し、流域の炭素代謝を明らかにすることを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

本申請課題では多様な水試料を採水し、石灰岩地帯を含む多様な地域で溶存無機炭素の同位体組成を比較研究することで、流域の炭素代謝の新たな指標を創出する。初年度にはGIS解析により、採水流域の確定を行うと同時に、霞ヶ浦流域で定期モニタリングを行っている河川を対象に日変化、季節変化、出水時の変化を調べるために高頻度採水を行う。採水直後に呼吸を止めた試料水と数日もしくは数10日後に止めた試料水の溶存無機炭素の濃度、pH、Alkalinity、δ13Cを測定する。すでにonlineで溶存無機炭素のδ13Cを自動測定する前処理ラインは作成済みである。溶存無機炭素のΔ14C測定のためのグラファイト化の前処理の自動化を進める。2年目以降は遠隔地や大規模出水時の採水を引き続き行い、Δ14C測定を進める。最後に得られた結果をもとに、溶存無機炭素のδ13CとΔ14Cによる流域の炭素循環の指標化を行う。

今年度の研究概要

今年度は主として放射性同位体比(Δ14C)分析方法の確立と各種水試料のDICおよび溶存メタンのδ13C,Δ14Cの測定を行う。
 溶存無機炭素の放射性同位体比(Δ14C)の測定は現在所属研究機関である国立環境研究所の加速度マス(AMS)を用いる。そのために必要なグラファイト化の自動ラインの最終くみ上げに精力的に取り組む。具体的には、
1)DICや溶存メタンをHeバブルにより追い出し、液体窒素でトラップするための電動アクチュエータの動作と真空ラインの排気と水素ガスの導入のための自動真空弁の動作を同期させる、
2)グラファイト化ラインにトラップした後、3時間炉温を650℃に保持し、その間のリーク率とグラファイト化率を真空度と元素分析の値から評価し、最終的にはΔ14Cの測定精度を確定する。その後、河川水の保存試料のDIC、溶存メタンのδ13CおよびΔ14Cの測定を行う。
得られたデータを採水地点より上流の流域の土地利用や地形特性と合わせて考察し、溶存無機炭素の同位体組成による新たな流域診断指標の構築を行う。

関連する研究課題

課題代表者

高津 文人

  • 地域環境研究センター
    湖沼・河川環境研究室
  • 室長
  • 理学博士
  • 生物学,農学,林学
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