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光化学オキシダント生成に関わる未計測VOCの探索(平成 26年度)
Study on unknown VOCs related to photochemical oxidant formation

予算区分
BA 環境-推進費(委託費) 5-1301
研究課題コード
1315BA002
開始/終了年度
2013~2015年
キーワード(日本語)
光化学オキシダント,揮発性有機化合物,光化学スモッグチャンバー
キーワード(英語)
Photochemical oxidant, Volatile organic compound, Photochemical smog chamber

研究概要

日本では、光化学オキシダントの前駆物質であるNOxならびに反応性の揮発性有機化合物(VOC)の何れの大気濃度も減少傾向にある。ところが、平均のオキシダント(オゾン)濃度は年に2%程度の増加傾向が続いている。この近年のオキシダントの増加傾向の原因としては、(1)オゾン濃度が高い空気の流入 (越境汚染)の影響、(2)VOC/NOx比の変化に伴うオゾン濃度の増加が考えられている。ところが、最近になって、(3)計測できていないVOCの存在、がオゾン濃度の増加に関与しているのではないかとの指摘がなされている。例えば、大気化学モデル計算によると、反応性の高い未計測のVOCが20%程度存在すると、大気反応の条件によっては、生成するオゾン濃度が1桁程度増加するとの指摘がなされている。一方、課題代表者らは、世界に先駆けて独自に開発したOH反応性計測装置を用いて、都市ならびに森林地域の大気でのOH反応性を計測した。その結果、例えば東京郊外(八王子)では、約90種類ものVOCを同定・定量したものの、我々が開発した手法を用いて計測したOH反応性は同定されたVOCから予想される反応性を超えていた。この結果は反応性の高い未計測VOCの存在を示唆するものであり、東京郊外での夏季の観測の場合、OH反応性に対する未計測VOCの割合は大きい場合は50%に上ることが判明した。一方冬季は未計測の反応性が検出されなかった。これらの先行研究を踏まえて都市ならびに都市郊外での実大気観測、シャーシダイナモや光化学スモッグチャンバー実験、化学輸送モデル計算などを駆使して、
(1)OH反応性を指標とした未計測VOCが実大気での反応性ガスに占める状況の把握
(2)未計測VOCに対する人間活動、植物起源VOC、ならびにVOCの反応生成物の寄与率の推定
(3)未計測VOCの化学種あるいは化学種群の同定
(4)未計測VOCの存在が大気環境に与える影響の定量的な評価
を進め、光化学オキシダント生成に対する未計測VOCの影響を明らかにし、未計測VOCの存在を前提とした今後のオキシダント制御のための政策立案にとっての科学的知見を提供することを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:政策研究

全体計画

オキシダント生成に関わる未計測VOCの探索を行うことが本研究提案の根幹である。未計測VOCの同定ができなくても定量的にどの程度オキシダント生成に寄与するかを知ることが出来ればオキシダント制御に大きく貢献できると考えられる。これらの目的から(1)未計測VOC検出のための大気観測グループ(京都大学)、(2)光化学2次生成物分析のための室内実験グループ(国立環境研究所)と(3)モデル計算による未計測VOCのオキシダント生成能を評価するグループ(アジア大気汚染研究センター)の3研究機関が連携して研究を進める。大気観測グループはつくば市(環境研内)および東京農工大学FM多摩演習林でのOH反応性およびその他の反応性微量成分の大気総合観測を行い未計測VOCの解析を行う。プロファイル分析により既知物質と未計測物質の相関を調べ未知物質の濃度予測や発生源情報を得ることを目指す。大規模発生源である自動車排気ガスや単一植物由来のVOC分析も行い未計測VOCの同定/定量を進める。二次生成物の未計測VOCに対する寄与を調べる目的から環境研のスモッグチャンバーを用いた室内実験を行う。オキシダント生成に深く関わるVOC(BTXやイソプレン等)をとりあげ単一VOCの光酸化反応を進行させ、その大気試料のOH反応性測定と生成物分析を行い未知VOCの知見を得る。既知生成物の分析ではFTIRやガスクロ分析に加えて陽子移動型質量分析など先端的計測装置を駆使しながら出来るだけ多くの化学物質の濃度情報を得る。モデル計算グループは大気化学モデルを用い、人為起源及び植物起源VOCの排出インベントリのVOC種の細分化を行いNOxインベントリとともに実大気計測で得られた観測結果をもとに、インベントリの高度化を計る。大気計測および室内実験グループから得られた未計測VOCの情報をモデル計算に組み込み未計測VOCによるオキシダント生成の感度解析を行い、未計測VOCの寄与について定量評価を行う。人為起源VOCのセクター毎及び植物起源VOC排出によるオキシダント生成能及び排出量の不確実性に対する応答を評価し、オキシダントの光化学的制御戦略に向けた科学的な根拠を示すことを目指す。またOH反応性を指標とした新たな大気質診断法の確立を目指す。

今年度の研究概要

NIESが担当するサブ課題(スモッグチャンバー実験)に関しては、芳香族炭化水素、アルカン類、およびモノテルペン類を用いた揮発性有機物-窒素酸化物-光照射系のチャンバー実験を行い、各々の揮発性有機物からの2次生成物のOHラジカル反応性を測定する。

外部との連携

研究代表者:梶井克純(京都大)、共同研究者:黒川純一、猪股弥生(アジア大気汚染センター)

関連する研究課題
  • 0 : 地域環境研究分野における研究課題

課題代表者

佐藤 圭

  • 地域環境研究センター
    広域大気環境研究室
  • 主任研究員
  • 博士(理学)
  • 化学
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担当者