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気候変動要因推定の物理パラメータ不確実性に関する研究(平成 26年度)
Parametric uncertainties in detection and attribution of climate change

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1417CD001
開始/終了年度
2014~2017年
キーワード(日本語)
気候モデル
キーワード(英語)
climate model

研究概要

過去の気候変動における人間活動や太陽活動、火山噴火などの外部要因の寄与を分析する研究分野は「気候変動の検出と要因推定(D+A)」と呼ばれ、気候変動科学において重要な位置を占めている。D+A の結果が、使用する気候モデル(GCM)の違いにどの程度依存するかに関する研究は、数多く行われてきた。一方、GCM の物理パラメータ値を変えた場合のD+A の依存性に関しては、調べられてこなかった。本課題では、日本で開発された最先端のGCM を用いて、物理パラメータを走査した上で、産業革命以降の全球地上気温変動を再現する実験と、各外部要因だけ与える感度実験を行う。これらの実験データを解析することで、異なる外部要因に対する気候応答の違いを理解するとともに、気候変動要因推定のパラメータ不確実性を議論する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

日本発の最先端のAOGCMを用いて、物理パラメータを走査した物理アンサンブル実験を行う。初年度は、物理パラメータ値の組み合わせを決定するための予備実験を行う。2年目以降は、産業革命後の温室効果ガスやエアロゾル、太陽活動などの情報をAOGCMに与える「歴史気候実験」と、各外部要因だけを与える感度実験を行う。これらの数値実験データを分析することで、異なる外部要因に対するAOGCMの地上気温応答の違いを議論する。次に、地上気温変動観測データと比較することで、要因推定の物理パラメータ不確実性を調べる。さらに地上気温変動以外の変数の観測データ再現成績を評価することで、要因推定の不確実性を低減する為の情報を得る。

今年度の研究概要

 日本発の最先端の気候モデルMIROC5を用いて、物理パラメータを走査した物理アンサンブル実験を行う。我々は、昨年度で終了した科研費課題(代表塩竈; 前課題)において、MIROC5 の10 種類の物理パラメータを同時に走査してパラメータ不確実性を調べるアンサンブル実験システムを開発した[Shiogama et al. 2012, Clim Dyn]。本課題では、これまでに開発してきたMIROC5 物理アンサンブル実験システムを利用して、人為起源外部要因と自然起源外部要因を与えた歴史気候実験を行っていく。
 初年度は、物理パラメータ値の組み合わせを決定するための予備実験を行う。MIROC5 の大気部分を用いて,以下の手順で予備的な数値実験(エアロゾル・アンサンブル実験)を行い、パラメータセットの絞り込みを行う。 
 (1) 大気モデルの物理パラメータを走査して、2000 年〜2005 年のエアロゾル排出量を与えたアンサンブル実験を実施し、各パラメータセットに対するエアロゾル冷却効果の強さを求める。
  (2) (1)で得られたエアロゾル冷却効果の強さを気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次報告書における不確実性幅と比較し、現実的な冷却効果を持つパラメータセットを絞りこむ。
 この予備実験によって、エアロゾルの冷却効果が非現実的な強さを持つようなパラメータセットを排除する。

外部との連携

研究分担者: 東京大学・大気海洋研究所・准教授・渡部雅浩

課題代表者

塩竈 秀夫

  • 地球システム領域
    地球システムリスク解析研究室
  • 室長(研究)
  • 理学博士
  • 地学,理学
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担当者