ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

地域エネルギー供給のための廃棄物系バイオマスのガス化/多段触媒変換プロセスの開発(平成 25年度)
Development of waste biomass gasification and multi-stage catalytic gas conversion processes for providing regional energy

予算区分
BE 環境-推進費(補助金)
研究課題コード
0406BE818
開始/終了年度
2012~2014年
キーワード(日本語)
ガス化,改質,触媒,ガス変換,エネルギー回収,廃棄物系バイオマス
キーワード(英語)
gasification, reforming, catalyst, gas conversion, energy recovery, waste biomass

研究概要

地域的に偏在する廃棄物系バイオマスをエネルギー等として有効に利用するためには、水素(H2)、一酸化炭素(CO)およびメタン(CH4)等を回収できる分散型の高効率ガス化および改質技術の確立が期待される。しかし、従来の同技術は、1200℃以上の高温で改質を行うため効率に限界がある。本研究では、廃棄物および震災廃棄物として排出されるバイオマスをガス化し、改質するプロセスを中核に、H2、COとともに多量に発生する二酸化炭素(CO2)をガス化後段の各温度領域で段階的に効率よく触媒変換し、燃料および化学合成原料化が可能なCOおよびCH4を回収する実用性の高いガス化/多段触媒変換プロセスを開発することを目的とする。
 研究方法は、まず、従来の工業的方法より安価に酸素を得る技術を開発し、この酸素を主たるガス化剤とした比較的低温条件(750〜800℃)でのガス化反応を行う。後段における改質およびタール分解を効率的に行うため、被毒物質への耐久性に優れ、長期使用に耐える安価な合金触媒を開発・実用化する。すなわち、1) ガス温度600〜800℃において新規触媒系を用いたCO2のCOへの選択的還元反応を行い、さらにその後熱回収を行った後、2) 350〜400℃においてCOおよび残存CO2からCH4へのメタン化触媒反応を高効率で行い得るプロセスとする。このガス変換工程では、ニッケル(Ni)を主たる有効成分としてこれを高分散かつ強固に結合・担持させる、従来にない新規担体の開発を行う。各要素技術とも、初年度の基礎的検討から応用の段階に至るまで研究を展開し、小規模実験装置と実際のバイオマス試料を用いてガス化における主要ガス成分およびタール等副次成分の生成特性を定量的に明らかにし、一方、モデル物質を用いて個別触媒反応の開発と最適化を進める。最適な触媒系を開発した後、実際のガス化ガスへの適用性を試験し、実用性を確立することとする。
 以上の各単位プロセスを組み合わせることにより、廃棄物系バイオマスのガス化-改質から各種ガス成分を高効率・高ポテンシャルで回収することを可能とするのに加え、開発プロセスの具体的な地域への適用性をライフサイクル的に評価し、CO2の排出を極力抑制可能な低炭素型社会の形成に資するシステムを提示することで政策貢献が可能と考える。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

サブテーマを4つ設ける。(1)ガス化/多段触媒変換プロセスおよび総合システム設計、(2)第一触媒変換プロセス(第一段改質器用耐被毒タール成分改質触媒の開発)、(3)第二触媒変換プロセス(逆シフトおよびメタン化プロセス)および(4)地域施策への適用評価である。初年度は、要素技術に関する基本的性能の開発について取り組み、第2年度は基本性能の開発成果に立脚した要素技術の最適化を重点として研究を進捗させる。最終年度は、必要な最適化を継続し、要素技術をパッケージとして完成させるとともに、システムとしての統合をはかり、地域施策への技術システムの適用性を実証・評価する。

今年度の研究概要

個々の要素技術とそれらの総合的な適用性の両面から、適用技術システムとしての最適化に取り組む。
 酸素分離プロセスの開発では、電解質と電極触媒の組み合わせを最適化する。超音波ミスト熱分解法の適用で三相の界面に富む表面状態を実現し、有効電極成分の使用量を抑制でき効率のよい分離システムを構築する。第一段触媒変換プロセスに関しては、合金を構成する成分と触媒特性の関係を詳細に解析し、より高い性能の期待される合金を選択するとともに、表面改質による高性能化の可能性を検討する。
 ガス化および第二段触媒変換プロセスに関する研究、ならびに全体システムの設計に関する研究としては、ガス化改質工程への第一段改質反応触媒の適用性評価と性能向上方策を中心に実験を継続する。プロセスを構成する技術の各要素的性能と全体システムへの適用性等を技術情報として整理し、物質収支および熱収支解析を行う。第二段触媒変換プロセスに関しては、低温域でのメタン化反応を中心に反応機構、最適化条件および速度等の詳細解析を進める。ガス変換の平均収率90%以上を目標に、セリウム化合物等の補助的試薬の付加による触媒系の性能向上さらに高機能化等を図る。
 廃棄物系バイオマスの排出特性等に関する収集データにもとづき、ガス化/多段触媒変換プロセスの導入事象を対象とするライフサイクル評価を実施する。CO2排出等の環境負荷面およびエネルギー収支等を要素とする総合的な評価を行う。さらに、GISを用いた収集・輸送距離の算出等により、施設の最適配置の考え方と具体的方法を提案する。

外部との連携

共同研究機関:名古屋大学、埼玉県環境科学国際センター 、岡山大学

課題代表者

川本 克也

担当者

  • 魯 保旺