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気候変動対策と生物多様性保全の連携を目指した生態系サービス評価手法の開発(平成 25年度)
Development of a method for evaluation of ecosystem services aiming at trade-off mitigation between climate change prevention and biodiversity conservation

予算区分
BA 環境-推進費(委託費) F−1101
研究課題コード
1113BA001
開始/終了年度
2011~2013年
キーワード(日本語)
生態系サービス,地球温暖化対策,生物多様性保全
キーワード(英語)
Ecosystem service, Global warming mitigation, Biodiversity conservation

研究概要

生態系がもたらす公益的機能(生態系サービス)は、食料や木材・繊維の供給、水源涵養、土壌の形成と安定化による防災機能、炭素固定による気候安定化、そして生物多様性による遺伝子資源提供など、非常に多岐にわたっており、人間社会は様々な形でそれら生態系サービスに依存している。現在、地球規模の気候変動と土地利用変化に伴う生物多様性の喪失が、これまでになく急速に進行しており、生態系サービスが変質・衰退することで人間社会にも看過すべからざる影響が生じつつある。一方、気候変動の緩和を目的とする取り組みは、生物多様性に良い影響も悪い影響も及ぼし得る(トレードオフ)。具体的には、森林の炭素吸収能力の強化を目的とした活動は、森林保全・保護および環境植林を通じて生物多様性への良い影響をもたらす一方で、早生樹種などの植林活動が原生林の破壊に繋がる事態が世界中で引き起こされてきた。また、気候変動への適応を目的として沿岸域に作られる護岸・堤防などは、潮流を変化させ、自然生態系のプロセスに悪影響を及ぼす可能性も指摘されている。
 このようなことから、生物多様性対策と気候変動対策の連携を目指した生態系サービス評価手法の開発が必要である。本研究課題の目的は、気候変動対策と生物多様性保全という異なる環境問題における対策間トレードオフの解消に寄与するための、生態系管理を実施する上での意志決定に利用しうる生態系サービス指標とその評価システムを開発することである。
 

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

本研究課題の具体的な目標は、次の2つに集約される。
目的(I) 森林をはじめとする陸域生態系がもつ機能を観測ネットワーク、衛星リモートセンシングおよび生態系モデルを用いて詳細にマッピングする。
目的(II) 前項で作成された機能マップに基づいて生態系サービスを評価する新たな手法を開発し、テストサイトにおけるステークホルダーとの協働によるシステムの検証を行い、気候変動と多様性保全を両立する生態系管理方策を検討する。
目的(I)をサブテーマ1、2、3が担当し、目的(II)をサブテーマ4および5が担当する。
(1) 生態系機能を定量化するためのデータ解析とモデル開発に関する研究
(2) 生態系機能の広域把握のための観測ネットワークとデータベースに関する研究
(3) 生態系機能の広域評価のための衛星リモートセンシングに関する研究
(4) 生態系サービスの時空間変動評価手法の開発
(5) 生態系サービス統合評価システムの開発と事例検証

平成23年 生態系モデル(VISIT)について、生態系サービスに関与する項目に関して推定法を再検討して高度化の指針を定める。観測ネットワーク(2)における既存データを入手し、アジア太平洋地域でのモデル精度を検証する。
平成24年 生態系機能・サービスの予測性向上に向けたモデル高度化を実施する。衛星観測データ(3)を入手し、気候データなどの基本データセットを整備して広域シミュレーションを実施する。その結果を予備解析し、地域・生態系タイプごとの機能的な特性を明らかにする。
平成25年 生態系機能に関する広域シミュレーションを継続し、アジア太平洋地域における詳細な生態系機能マップを経済評価(4)に提供する。各サブテーマを統合して生態系サービス経済評価に向けた統合的メソッドを提示する。生態系機能に関する研究結果を国際学会および学術雑誌で発表する。

今年度の研究概要

生態系サービス評価システムの構築に向けた研究を進める。サブテーマ1〜3は生態系サービスを科学的側面から把握するためのデータとモデルを提供し、サブテーマ4〜5は社会経済的な要因を考慮した評価システムを開発する。
(1)生態系モデル(VISIT)について、生態系サービスに関与する項目に関して推定法を再検討して高度化を進める。観測ネットワーク(2)における既存データを入手し、アジア太平洋地域でのモデル精度を検証する。
(2)サブテーマ1と協力し、生態系機能・サービスを広域把握するために重要な観測ネットワークとデータベースの現状を調査し、アジア太平洋地域の既存データを収集すると同時に、分野横断的なデータベースの構築を進める。
(3)生態系による炭素循環機能や生物多様性の評価に直結するような生態系のマッピングの方法や、指標のあり方を検討する。並行して、必要となる衛星データを収集する。衛星データの検証値となるような地上データをサブテーマ2と連携して収集する。
(4)テストサイトにおける生態系サービスの変動把握を目的として、長期的な時系列リモートセンシング画像やデジタル化した地図情報および社会経済データを収集、土地被覆変化などの地理情報の構築と生態系サービス変化の要因解析を行う。
(5)木質バイオマス利用ポテンシャル評価ツールをテストサイトに適用するためのデータ整備や、テストサイトにおける施業シナリオ等の検討を行い、今後開発する統合評価システムのプロトタイプを作成する。テストサイトにおける事例検証を進める。

外部との連携

研究分担機関:(独)海洋研究開発機構、三菱総合研究所

関連する研究課題

課題代表者

伊藤 昭彦

  • 地球環境研究センター
    物質循環モデリング・解析研究室
  • 主任研究員
  • 博士(理学)
  • 生物学,地学,林学
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担当者