ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

先端的分光遠隔計測技術の開発に関する研究(平成 25年度)
Study on the development of advanced spectroscopic remote sensing techniques

研究課題コード
1115AA103
開始/終了年度
2011~2015年
キーワード(日本語)
遠隔計測,ライダー,ハイパースペクトルセンサー
キーワード(英語)
remote sensing, lidar, hyperspectral sensor

研究概要

次世代の地球観測衛星センサーに必要な計測手法、データ解析手法の開発を目的とし、能動分光センサーおよびハイパースペクトルセンサーに関する2つのサブテーマの研究を行う。サブテーマ1は次世代センサーとして提案中の大気・植生ライダーの原理検証とデータ解析技術の開発を行う。サブテーマ2は生態系監視への応用を狙ったハイパースペクトル(分光イメージング)センサーのデータ解析技術の開発と評価を行う。
 人工衛星や宇宙ステーションからの環境計測を目的として先端的な分光計測に基づく環境遠隔計測技術を開発し、我が国の次世代地球観測衛星用センサの開発と利用に必要な技術基盤を確立することを目的とする。能動型センサとしてはJAXA/ESAのEarthCARE衛星に搭載される高スペクトル分解ライダー(ATLID)を、受動型センサとしては同衛星に搭載されるマルチスペクトルイメージャ(MSI)とJAXAのALOS-3衛星に搭載される経産省のハイパースペクトルセンサ(HISUI)を想定する。
1.「次世代能動型分光センサーの開発に関する研究」
宇宙ステーションや低高度軌道衛星への搭載を想定した新しい能動型センサーとして提案されている植生・大気ライダーについて、原理検証とデータ解析・利用手法の研究を行う。特に、測定波長の選定と地上原理検証実験、2次元検出器の評価、データ利用を含むシミュレーションが主要課題となる。(なお、センサー提案は、東北工業大学、情報通信研究機構などとの協力で進める。)また、現在JAXAとESAの協力で開発されているEarthCARE衛星に搭載される高スペクトル分解ライダー(ATLID)とマルチスペクトルイメージャー(MSI)を想定して、エアロゾルについて能動センサーと受動センサーの複合解析手法を開発する。EarthCAREシミュレーターを用いた評価を行うとともに、既存のCALIPSOとMODISデータに適用し、高スペクトル分解ライダーやラマンライダーの地上観測データとの評価も行う。
2.環境分野におけるハイパースペクトル(分光イメージング)センサの実利用に必要な基盤的なデータ処理技術の開発を行うとともに、その有効性を船、航空機からのハイパースペクトル観測データを用いて評価する。特に脆弱な生態系の一つであるサンゴ礁については、白化後のサンゴの回復状況等をサンゴ及び藻類の分光特徴を用いて監視する技術の開発を重点的に進める。また沿岸域・故障におけるアオコ・赤潮発生時や油流出時におけるハイパースペクトルセンサによるモニタリング等に関しても検討を行う。さらに我が国の衛星搭載ハイパースペクトルセンサを用いた環境監視を行う際の指針を示す。

今年度の研究概要

サブテーマ1:宇宙ステーション搭載植生ライダーのキー技術のひとつであるマルチビーム送信系について技術検討を進める。また、EarthCARE搭載ATLIDおよびMSI、CPRの地上権証について、JAXAのRA課題による検討と整合を取りながら、観測システムの整備を進める。特に、現在運用中のCALIPSO衛星とATLIDのデータの連続性を確保するための検証データとなる高スペクトル分解ライダー(およびラマン散乱ライダー)による観測を開始する。
サブテーマ2:ハイパースペクトルデータを使ったデータマイニング/土地被覆分類アルゴリズムの開発と実データへの適用を継続する。またそのために必要な赤外域の分光データに対する測光補正の検討を行う。森林については森林樹冠上に常設した自動ハイパースペクトルカメラを用いて樹種別のフェノロジーと反射スペクトルを計測し、植生の活動状態を評価する手法を開発する。沿岸域については現場型多波長センサーを用いて、沿岸域生態系の構成要素の反射スペクトルを計測し、識別可能性やストレス診断可能性の評価を行う。

外部との連携

サブテーマ1の植生ライダーの研究は、東北工業大学、情報通信研究機構、JAXAなどと連携して実施する。また、EarthCAREに関する研究では、JAXA、東京大学大気海洋研究所、九州大学などと連携する。

課題代表者

杉本 伸夫

担当者