ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

熱力学解析とMFAの融合による都市鉱山からの金属資源の回収可能性評価手法の開発(平成 24年度)
A New Approach to Integrate "Material Flow Analysis/Material Stock Accounting" and "Thermodynanmic Analysis"

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1012CD003
開始/終了年度
2010~2012年
キーワード(日本語)
物質フロー分析,物質ストック勘定,熱力学解析
キーワード(英語)
Material flow analysis, Material stock accounting, Thermodynamic analysis

研究概要

経済産業省・環境省の連携の下、又、各分野において、都市鉱山からの有価金属のリサイクルに着目した事業や取り組みが数多く実施されている。その多くは、回収システムや回収技術などの実践的・実用的な課題に焦点をあてたものであり、学術的な基礎研究は少ない。これに対して、本研究では、熱力学解析に基づく元素の分配挙動解析と、物質フロー・ストック分析(MFA/MSA)を核として、熱力学解析とMFAの融合による都市鉱山からの金属資源の回収可能性評価手法の開発を目指す。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

本研究は、a)プロジェクト全体の計画立案と遂行、取りまとめ、情報発信を担当する総括グループ、b) 化学熱力学解析等の材料科学的な手法に基づいて、金属化プロセス及びその関連プロセスにおける都市鉱山からの金属資源の回収可能性および不純物の除去限界を解析する熱力学解析グループ、そして、c)物質フロー・ストック分析手法に基づいて、都市鉱山としての金属資源の資源量および回収可能量を評価するMFA/MSAグループの3グループ体制で実施する。なお、a)総括グループでは、計画立案・遂行・取りまとめに加えて、b)熱力学解析グループ、c)MFA/MSAグループで得られた定量的結果をもとに、都市鉱山からの効率的な有価物回収の為の廃製品の解体処理方法の設計ツールの開発、および、回収効果のLCA的評価を含めて実施をする。更に、各分野の有識者・専門家により組織されたアドバイザリーグループとの議論を通して、学術的研究としての昇華を目指す。

H22年度
a) 統括グループ: 熱力学解析とMFA/MSAとの融合を意識した全体の取りまとめを行うと共に、1)解体処理方法の設計ツールの開発として、熱力学解析により得られた製錬・再溶解プロセスにおける金属の回収可能性とMFA/MSAにより得られた製品の組成・含有金属のストック量を取り入れたツールの枠組み構築を行うと共に、自動車や電気電子機器を対象とした2)個別製品への適用の準備を行う。また、3)LCA的評価に基づく回収効果の評価として、文献調査などによるレアメタルなど金属の資源性・有害性に関する情報整備、金属のインベントリデータの整備、そして、使用済み電気電子製品等からのレアメタル等(Ndなど) の未回収金属の回収、汎用合金素材(鉄鋼、銅、アルミなど)のリサイクルにおけるスクラップソーティング(分別回収と最適配合)の導入による回収効果評価の準備(予備的評価など)を行う。
b) 熱力解析グループ: 1)熱力学解析に必要なデータの探査・精査として、金属資源の回収可能性の解析に必要な熱力学データの探査を行い、信頼性の高い値を見定める。更にFe-X、Cu-X、Pb-X、Zn-X、Al-X、Mg-X系(Xは混入元素)において可能な限り網羅的に熱化学データを収集する。また、実際のプロセスの操業条件も探査する。また、2)熱力学解析による資源回収可能性の推計として、収集データに基づいて、鉄鋼製錬を機軸とした循環系(Fe-X系)、銅製錬を機軸とした循環系(Cu-X系)について資源回収ポテンシャル図を作成し、混入元素の回収可能性・除去可能性を推計する。また、3)模擬実験による回収可能性の検証として、プロセス中の元素の分配傾向を実験室規模で検証するための、実験設備の設計、製作を行う。
c) MFA/MSAグループ: 1)物質フロー・ストック勘定体系の構築として、ストック量推計手法としての動学物質フロー推計手法の確立、廃棄物としての発生時期や回収可能性などを考慮した集計区分に基づく勘定体系の確立を行う。2)電気電子製品などの組成・含有金属のストック量推計として、家庭用製品の組成に関する文献情報の整理及び化学分析による検証、廃棄物としての発生時期を考慮した製品ストック量を推計、業務用製品のストック推計のための基礎情報(国内出荷台数,蓄積台数,寿命など)の調査・整備を行う。3)汎用材料とその合金成分のストック量推計として、鉄鋼材料とその合金元素(Ni, Cr等)のストック量推計を実施すると共に、その基礎情報の調査・整備を行う。

H23年度以降
a) 統括グループ: H22年度に引き続いて、研究全体の取りまとめを行うと共に、解体処理方法の設計ツールの開発として、H22年度に構築した枠組みに、熱力学解析結果、MFA/MSA結果を随時反映する事で、より実践的なツールの開発を目指す。また、自動車や電気電子機器など個別製品への適用として、熱力学解析により得られた製錬・再溶解プロセスにおける金属資源の回収可能性などを踏まえる事により、レアメタル等の未回収金属の効率的な回収の為の解体部品の特定、リサイクル方法の選定を行う。更に、LCA的評価に基づく回収効果の評価として、金属のインベントリデータの整備、そして、濃縮部位の特定及び事前選別による使用済み電気電子製品等からのレアメタル等(Ndなど) の未回収金属の回収、汎用合金素材(鉄鋼、銅、アルミなど)のリサイクルにおけるスクラップソーティング(分別回収と最適配合)の導入による効果の準備を行う。
b) 熱力解析グループ: 熱力学解析による資源回収可能性の推計として、鉛製錬を機軸とした循環系(Pb-X系)、鉛・亜鉛製錬を機軸とした循環系(Pb-Zn-X系)、アルミニウム製錬を機軸とした循環系(Al-X系)、マグネシウム製錬を機軸とした循環系(Mg-X系)について資源回収ポテンシャル図を作成し、混入元素の回収可能性・除去可能性を推計する。また、模擬実験による回収可能性の検証として、平成22年度に整備した実験装置を用いて熱力学解析により得られたプロセス中の特に重要な元素の分配傾向を実験室規模で検証する。
c) MFA/MSAグループ: 物質フロー・ストック勘定体系の構築として、製錬・再溶解プロセスにおける元素の相互関係を踏まえて多元他部門の勘定体系及び分析モデルへの発展、勘定体系と分析モデルの接続を目指す。電気電子製品の組成・製品ストック量を推計として、化学分析等に基づき組成情報を充実しつつ、各種製品の含有金属のストック量推計及び精緻化を実施すると共に、業務用製品のストック量推計を実施する。汎用材料とその合金成分のストック量推計として、引き続き鉄鋼材料とその合金元素(Mn、W等)と共に、銅合金とその合金元素(Cr、Mn等)のストック量推計を行う。なお、23年度以降は、熱力学解析との融合を意識する事により、ストック量の内訳としての資源回収可能量の推計を行う。

今年度の研究概要

研究は、a)プロジェクト全体の計画立案と遂行、取りまとめ、情報発信を担当する総括グループ、b) 化学熱力学解析等の材料科学的な手法に基づいて、製錬プロセス等における都市鉱山からの金属資源の回収可能性および不純物の除去限界を解析する熱力学解析グループ、そして、c)物質フロー・ストック分析(MFA/MSA)手法に基づいて、都市鉱山としての金属資源の資源量および回収可能量を評価するMFA/MSAグループの3グループ体制で実施する。

a) 統括グループ: 使用済み自動車(ELV),使用済み電気電子機器(E-waste)等を対象としてレアメタル等の未回収金属の回収および有効利用のためのシステム提案を行う。具体的には、スクラップの合金組成を考慮したスクラップソーティング(スクラップの分別・配合最適化)の導入による合金元素の有効利用や廃棄物処理プロセスからの有価金属の回収・濃化等の提案・解析を進める。また、プロジェクト最終年度として、熱力学解析とMFA/MSAとの融合を意識して全体の取りまとめを行う。

b) 熱力解析グループ: 熱力学解析による資源回収可能性の推計として、アルミニウム製錬を機軸とした循環系(Al-X 系)、マグネシウム製錬を機軸とした循環系(Mg-X 系)について資源回収ポテンシャル図を作成し、混入元素の回収可能性・除去可能性を推計する。また、湿式製錬プロセスにおける資源回収可能性等の評価に着手する。更に、本年度は各金属製錬プロセスの相互リンケージを考慮した、都市鉱山からの金属資源の回収可能性について検討を行う。」

c) MFA/MSAグループ: 1)H22年度・H23年度と議論してきたMFA/MSA勘定体系の適用として、鉄鋼材を事例として、廃棄物としての発生時期や回収可能性などを考慮した集計区分に基づくMSA勘定体系の適用を行う。更に、途上国を中心にアルミニウムを対象とした動的MFAをおこなうことで、都市鉱山のポテンシャルを世界規模で長期的に推計すると共に、動的MFAを用いた都市鉱山ポテンシャルの将来推計について、手法や各パラメータの違いがもたらす影響を検討する。また、個別製品に着目した研究として、3)平成23年度に引き続き、ELVに着目し、自動車ボディ、足回り、エンジン等に用いられるベースメタルに随伴するレアメタルフローの推計を行い、合金元素の有効利用の視点から見 たスクラップソーティングシステムについて検討を行う。4)文献より取得した電気電子製品の組成情報について分析手法の整理とその違いによる精度の評価をふまえ,個別製品および電気電子製品総体の組成情報を相互に検証しつつ,含有金属のストック・排出量推計値を確定する。

外部との連携

研究分担者(外部機関)
 三木隆博 (東北大学大学院工学研究科、准教授)
 松八重一代(東北大学大学院工学研究科、准教授)
 竹田修(東北大学大学院工学研究科、助教)
 橋本征二(立命館大学、教授)
 畑山博樹(産業技術総合研究所、研究員)

備考

当課題は、重点プロジェクト1「国際資源循環に対応した製品中資源性・有害性物質の適正管理」および重点プロジェクト3「地域特性を活かした資源循環システムの構築」にも関連

課題代表者

中島 謙一

  • 資源循環・廃棄物研究センター
    国際資源循環研究室
  • 主任研究員
  • 博士(工学)
  • 工学,材料工学
portrait

担当者