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福島沖で放出された放射性物質をトレーサーとした親潮潜流の動態解明(平成 23年度)
Study on dynamics of the Oyashio Undercurrent using the radionuclides from the coast of Fukushima

予算区分
NA 寄付
研究課題コード
1112NA003
開始/終了年度
2011~2012年
キーワード(日本語)
親潮潜流,放射性物質,化学トレーサー
キーワード(英語)
Oyashio Undercurrent, Radionuclides, Chemical Tracers

研究概要

東日本大震災に伴う福島第一原発事故では,高濃度放射能汚染水が太平洋へと流出した。同原発沖合には、東北沿岸を南下する親潮が黒潮の下に潜り込み、東京湾や相模湾へと注ぐ親潮潜流と呼ばれる海流が存在する。この親潮潜流は、低温低塩分の特徴をもつとともに豊富な栄養塩を含み、日本南岸に亜寒帯性プランクトンを運ぶ水塊として、古くから海洋生物学者の間では知られていたが、その海洋物理学的動態や物質輸送のメカニズムについては未解明のままである。したがって、親潮潜流による日本南岸域への物質輸送については、現行の沿岸生態系モデルには一切反映されていない。そこで本研究では、原子炉や使用済み核燃料を由来とする放射性物質を海水流動のトレーサー(追跡子)として活用することで、親潮潜流の流動過程ならびに同水塊によって東北沿岸から日本南岸域へ輸送される物質量について詳細な解析を行うことを主目的とする。この解析によって、相模湾やさらに南方の海域に輸送される(された)放射能汚染水の拡がりをも見積もることが可能になる。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

福島第一原発の事故によって海洋へ漏出した放射能汚染水を海水流動のトレーサーとして活用することで、東北沿岸を南下して黒潮の下に潜り込んで房総半島を経由して相模湾に達するとされる親潮潜流の動態ならびに物質輸送量を詳細に解析する。東京海洋大学海洋科学部付属の練習船を用いて1〜2ヶ月おきに実施されている房総沖ならびに相模湾における定期観測に便乗し、CTD(溶存酸素センサー付き現場型水温塩分測定装置)によって親潮潜流の特徴である低温低塩分水塊を観測するとともに、同観測点において同水塊を含む鉛直多層採水を実施する。鉛直多層採水で得られた海水試料は、セシウム同位体比(134Cs/137Cs比)による汚染水の起源推定のほか、溶存酸素(黒潮系水と親潮系水を区別する指標)、栄養塩類(黒潮系水と親潮系水を区別する指標)、 炭素安定同位体比(水塊混合の指標)、放射性炭素(海水の見かけの年齢算出)の高精度測定を実施する。これらの観測結果を総合的に解析することで、福島沖から親潮潜流によって日本南岸にもたらされる(もたらされた)物質量を正確に把握する。

今年度の研究概要

12月および翌年3月に東京海洋大学海洋科学部付属調査船・青鷹丸を用いて房総沖の海洋調査を実施し、CTD(溶存酸素センサー付き現場型水温塩分測定装置)によって親潮潜流の特徴である低温低塩分水塊を観測するとともに、同観測点および親潮潜流が確認されない観測点(対照海域)において鉛直多層採水を開始する。また海水試料については各化学成分分析に必要な前処理を行った後、分析を開始する。

外部との連携

共同研究者:長尾誠也(金沢大学)
協力研究者:神田穣太(東京海洋大学)

備考

住友財団2011年度環境研究助成

関連する研究課題
  • 0 : 環境計測研究分野における研究課題

課題代表者

荒巻 能史

  • 地球環境研究センター
    炭素循環研究室
  • 主任研究員
  • 博士(地球環境科学)
  • 化学,地学,水産学
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