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アジア沿岸域における未知のダイオキシン類縁化合物の検索とそのリスク評価(平成 23年度)
Identification and toxicity evaluation of dioxin related compounds in Asian coastal waters

予算区分
CD 文科-科研費 特別研究員奨励費
研究課題コード
1113CD016
開始/終了年度
2011~2013年
キーワード(日本語)
アジア沿岸域,ダイオキシン類縁化合物,DR-CALUX,二枚貝
キーワード(英語)
Asian coastal waters, dioxin related compounds, DR-CALUX, bivalve

研究概要

 先行研究から、アジア沿岸域には、人為起源に加え、海洋起源の臭素化ダイオキシンが広域的に存在することが示唆された。これら海洋環境中に残留する人為・海洋起源のダイオキシン類縁化合物に関して、包括的な調査を展開した事例は世界的にみても極めて少ない。加えて、海洋起源と考えられる臭素化ダイオキシンの自然合成メカニズム、未同定のダイオキシン類縁化合物の潜在毒性にまで言及し、総合的に評価した研究例は皆無である。
 そこで本研究では、(1)海洋起源と考えられる臭素化ダイオキシン類の生成メカニズムの解明、(2)アジア沿岸域に残留する未知のダイオキシン類縁化合物の探索、(3)DR-CALUXを用いた臭素化ダイオキシン及び未知のダイオキシン類縁化合物の毒性影響評価、(4)ダイオキシン類縁化合物による毒性プロファイルの構築を試みる。本研究により、沿岸域の人為、自然起源を合わせたダイオキシン類縁化合物による汚染実態とその毒性影響について明らかにすることに加えて、自然起源のダイオキシンの生成メカニズムに踏み込んだ研究成果を提示できれば、アジア沿岸域のダイオキシン類汚染の全様が解明されるのみならず、沿岸海洋におけるダイオキシン類縁化合物の循環メカニズム解明の一端を担う学術的成果に繋がると期待される。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

 以下の計画を軸として、3年間で課題研究を遂行する。
 研究1年目として、テーマ(1)「海洋起源と考えられる臭素化ダイオキシン類の生成メカニズムの解明」の課題に取り組む。アジア沿岸域から採取したカキやイガイなどの二枚貝を対象に、ブロモフェノール、OH-PBDEs、臭素化ダイオキシン類の化学分析を実施し、その水平分布、同属体・異性体組成を明らかにする。濃度と同属体・異性体組成のデータを詳細に解析し、各化合物の起源の推定と臭素化ダイオキシンの自然合成メカニズムの解明を試みる。
 2年目は、テーマ(2)「アジア沿岸域に残留する未知のダイオキシン類縁化合物の探索」、テーマ(3)「DR-CALUXを用いた臭素化ダイオキシン及び未知のダイオキシン類縁化合物の毒性影響評価」の課題に取り組む。テーマ(1)で用いた試料と同一の試料を対象に、DR-CALUXアッセイを実施し、試料中のダイオキシン様活性を測定する。高濃度のダイオキシン類縁化合物が検出、もしくは化学分析値とアッセイ値に大きな差が認められる試料に関しては、HPLCを用いた分画処理を施す。得られた各画分溶液は個別にDR-CALUXアッセイに供し、ダイオキシン活性を測定すると共に、GC-TOFMSを用いて未同定のダイオキシン類縁化合物を検索する。
 3年目は、引き続きテーマ(3)とテーマ(4)「ダイオキシン類縁化合物による毒性プロファイルの構築」の課題に取り組む。DR-CALUXアッセイに供したHPLC分画溶液の中で、高いダイオキシン活性が認められた画分について、GC-TOFMSもしくはGC-MS(GC-HRMS、GC-LRMS)を用いた測定を実施し、活性値に大きく寄与する化合物を特定する。3年間の研究を通じて、得られた各ダイオキシン類縁化合物の化学分析データとDR-CALUXをエンドポイントとする毒性評価値を統合的に評価し、アジア沿岸域のダイオキシン類縁化合物による毒性プロファイルを構築する。

今年度の研究概要

本年度は、アジア沿岸域のダイオキシン類縁化合物の総量活性を把握するため、アジア沿岸域より採取した二枚貝を対象にDR-CALUXアッセイ を実施する。また、人為起源の塩素化ダイオキシン類(PCDD/DFs、ダイオキシン様PCBs)、臭素化ダイオキシン(PBDD/DFs)、お よび自然起源と考えられる臭素化ダイオキシン(PBDDs)を対象とした化学分析を実施し、個別の化合物・異性体の濃度データを取得する。得られ た濃度データに各化合物・異性体の比活性の値を乗じ、DR-CALUXアッセイより得た総ダイオキシン様活性に対する各種ダイオキシン類縁化合物 の寄与を明らかにする。
さらに、自然起源と考えられる臭素化ダイオキシの生成メカニズムの妥当性を実証するため、臭素化ダイオキシンの前駆物質と考えられるブロモフェ ノール、OH-PBDEs、MeO-PBDEs、および人為起源のPBDEs、PCBs等を対象とした包括的な同属体・異性体別の化学分析をアジ ア沿岸域より採取した二枚貝を用いて実施する。得られたブロモフェノール、OH-PBDEs、臭素化ダイオキシン、および人為起源の塩素化ダイオ キシン類の各同属体・異性体濃度の関係性を詳細に解析し、臭素化ダイオキシンがブロモフェノールと OH-PBDEs、MeO-PBDEsを前駆物質として合成するメカニズムの妥当性を実証する。

関連する研究課題
  • 0 : 資源循環・廃棄物研究分野における研究課題

課題代表者

染矢 雅之

担当者