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長期的な温暖化操作が日本の森林土壌の炭素・窒素動態に及ぼす影響(平成 23年度)
Effects of long-term soil warming on dynamics of carbon and nitrogen

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1012CD018
開始/終了年度
2010~2012年
キーワード(日本語)
温暖化実験,土壌呼吸
キーワード(英語)
Soil warming, soil respiration

研究概要

森林土壌は巨大な炭素プールであり、温度上昇にともない分解が促進される可能性があるため、温暖化環境下における土壌炭素の動態の解明が急務となっている。本研究では、北海道から九州までの6つの代表的な森林において、すでに設置が完了している、野外土壌の人工温暖化実験サイトを利用し、最大5年におよぶ長期の温暖化操作が、土壌の炭素・窒素循環に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。それぞれの実験サイトにおいて赤外線ヒーターを用いて土壌を2.5〜3℃上昇させ、多地点連続自動観測土壌呼吸チャンバシステムを用いて土壌呼吸量および微生物呼吸量を観測する。また温暖化実験サイトにおいて、土壌水の定期的な採水、リターバック・土壌バックの設置・回収、および研究終了時にサイト内土壌のサンプリングを行い、主要な炭素・窒素成分を分析することにより、長期の土壌温暖化操作が土壌中の炭素・窒素動態に及ぼす影響を総合的に評価する。温暖化操作を長期間継続することにより、有機物量の減少や微生物の順化が起こり分解は滞るのか、あるいは温度の上昇に伴って指数関数的に呼吸量が上昇し続けるのかについて、日本の代表的な6つの森林で明らかにし、炭素循環予測モデルの精度向上に貢献する。
北海道針広混交林と宮崎のシイ林においては、土壌の温暖化操作に加えて、樹木地上部の温暖化操作を行い、樹木の根呼吸を含めた土壌呼吸量・地上部木部の呼吸量・フェノロジー・葉の炭素・窒素成分の温暖化影響を明らかにすることにより、温暖化が森林全体の炭素・窒素動態に及ぼす影響を明らかにする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

本研究は、H22〜H24 年度の3 年間の研究であり、5 国立大学教員と1研究所の研究員により研究グループを構成している。既に実験区の設定と温暖化操作が行われている、北海道から九州までの6つの代表的な森林の土壌温暖化実験サイトを利用し、最大5年におよぶ温暖化操作に対する、長期的な土壌中炭素・窒素の動態を明らかにすることを目的とする。また北海道針広混交林と宮崎シイ林においては、樹木地上部の温暖化操作を平行して行い、樹木の根呼吸を含めた土壌呼吸量・地上部木部の呼吸量・フェノロジー・葉の炭素・窒素成分の温暖化影響を明らかにする。

今年度の研究概要

土壌の温暖化操作と微生物呼吸量の計測を継続して行い、温度と微生物呼吸量の関係式を月毎に算出し、この関係式に経年変化が認められるかについて、全国6サイトの実験区で明らかにす
る。最終年度には各サイトの結果を比較し、日本の森林土壌の微生物呼吸量が温暖化によってどのよう影響を受けるのか考察を行う。

外部との連携

北海道大学

関連する研究課題

課題代表者

梁 乃申

  • 地球システム領域
  • シニア研究員
  • 学術博士
  • 林学
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