ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

ライダーおよび地上モニタリングネットワークによるエアロゾル動態解明(平成 23年度)
Study on distribution and movement of aerosols in East Asia using lidars and ground-based observation network

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
0812CD003
開始/終了年度
2008~2012年
キーワード(日本語)
ライダー,エアロゾル
キーワード(英語)
lidar, aerosol

研究概要

ライダーネットワーク、地上観測データと地域化学輸送モデルを用いてエアロ ゾル分布と動態を把握し、地域毎のエアロゾル種、エアロゾル濃度の気候学的な特徴、イベン ト毎のエアロゾル濃度変化などを明らかにして、植物影響、健康影響研究と連携することを目 的とする。特に気象条件に依存する高い時間分解能のエアロゾル濃度分布の変化に注目し、植物影響、健康影響の指標となるパラメータと時間スケールを検討する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

エアロゾルの植物影響や健康影響の基礎データとして、東アジア地域のエアロゾル濃度分布を数時間から年々変化までの様々な時間スケールで把握することが不可欠である。本研究では、ライダーネットワークおよび山岳部を含む地上モニタリング装置による連続観測を行ない、東アジアスケールから局所スケールまでのエアロゾル動態を解析する。
 ライダーネットワークは、これまでに特定領域研究「東アジアにおけるエアロゾルの大気環境インパクト」や環境省地球環境研究総合推進費の黄砂研究課題などの中で構築され、現在、日本、韓国、中国、モンゴル、タイの計20地点で常時観測を行っている。本研究では、ネットワークの主要な地点のライダーにラマン散乱光を測定する受信チャンネルを増設することで、従来の黄砂、水溶性エアロゾルに加えて、ブラックカーボンの分布も解析する。また、山岳部におけるパーティクルカウンタによる通年観測を実現する。また既存の大気汚染局のデータも収集する。
 これらの観測と地域化学輸送モデルを用いてエアロゾルの時空間分布と動態を解析し、地域毎のエアロゾルの種類、それらの濃度の気候学的な特徴、そしてイベント毎のエアロゾルの濃度の変化などを明らかにして、植物・健康影響研究と連携する。特に気象条件に依存する短い時間スケールのエアロゾル濃度の変化に注目し、植物・健康影響の指標となるパラメータと必要な時間スケールを検討する。

今年度の研究概要

 つくば、辺戸岬、ソウル、福江島、松江、タイ国ピマイのラマン散乱測定を含むライダーネットワーク観測を通年、連続して実施し、大気下層のエアロゾル種毎(黄砂、硫酸塩、ブラックカーボン、海塩)の分布と動態を解析するとともにデータベース化する。また、高分解能の領域化学輸送モデルCFORSを国立環境研究所において定常運転し、ライダーネットワークデータと合わせて、主要なエアロゾルイベントについて現象の解析を行う。また、偏光パーティクルカウンタ等による観測をライダーと同時に行い、ライダーで得られるエアロゾル種の消散係数と重量濃度等との関係を明確にする。これによってのライダーネットワークデータや衛星データ、さらにはデータ同化したモデルによって影響研究の暴露指標を与える手法を検討する。
 通年観測が可能な山岳域(北アルプスの新穂高と中央アルプスの駒ヶ岳)で、光学式粒子計測装置(OPC)による測定を継続して実施する。また年に数回、山岳域でエアロゾルを採集し、電子顕微鏡やエネルギー分散型X線解析装置を用いて粒子の形態・混合状態・元素組成の分析・解析を行う。
 さらに、東アジアスケールのエアロゾル混合状態解像モデルを用いて、煤粒子・ダスト粒子と微量気体との不均一反応による変質過程を調べる。またモデル結果と観測結果と比較・検討を行う。

外部との連携

気象研究所が山岳観測、サンプリング観測、偏光パーティクルカウンターの開発を分担。

課題代表者

杉本 伸夫

担当者