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津波堆積物に由来する飛散粉塵の測定および環境・健康影響評価に向けた戦略的サンプリング(平成 23年度)
An emergency response research on environmental and human exposure to Tsunami sediments and sludges through atmosphere

予算区分
AR 震災対応
研究課題コード
1111AR001
開始/終了年度
2011~2011年
キーワード(日本語)
飛散粉塵,津波堆積物,曝露評価
キーワード(英語)
Particulate Matter, Tsunami sediments and sludges, Exposure Assessment

研究概要

被災地域の避難所などの居住区では、津波堆積物の乾燥に伴い飛散した粉塵や、瓦礫撤去時に巻き上げられた粉塵を原因とする呼吸器疾患などの健康被害が懸念されている。循環Cの行った化学性状調査により、飛散粉塵の源となる堆積物中に有害化学物質が含まれていることが分かった。また、堆積物の腐敗によるカビ等微生物への曝露も予想される。現在までのところ、大気・粉塵を介した有害化学物質等への曝露経路の解析のための基礎データが存在せず、早急な調査が必要である。

避難所での集団生活は現在進行しており、国・自治体が健康被害に対する適切な対策を講じるために、緊急に現在の曝露状況を把握する必要がある。また、今後復興作業が本格化することに伴い、飛散粉塵が増加することが懸念されており、復興糧を通じた環境・健康影響評価のためには、早急な面的かつ長期的調査が必要と考えられる。

現在、宮城県保健福祉部及び環境生活部の連名で、国環研理事長宛に粉塵濃度及び大気中有害物質の測定を要請されており、また、環境省大気環境課の緊急モニタリングを受けて、被災地大気・室内環境の健康影響評価に資する基礎データの提供を依頼されている経緯があり、本課題を遂行する。

屋外屋内同時測定による長期的環境健康影響評価を行い、被災地の復興過程での健康被害への対策の立案・検証に貢献する。本研究では化学分析データとバイオアッセイデータを組み合わせ、量的・質的影響評価を行い、国や自治体の復興過程での健康影響低減のための意思決定材料としての科学的データを提供する。また、災害時の化学物質曝露評価のための、基礎的データの蓄積・発表を行い、今後の国内外での同様の災害時における対策への国内・国際的貢献が見込まれる。

研究の性格

  • 主たるもの:行政支援調査・研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

1. 宮城県の協力のもと、現地の視察を行い、石巻市・南三陸町・気仙沼市の二市一町で測定地点を選定する。避難所や仮説住宅の近傍を、屋外一般大気環境を代表する地点として選定し、発生源として堆積物を採取、屋外大気環境として飛散粉塵および大気成分、屋内環境として避難所内の飛散粉塵およびダストの採取を行う。
2. 避難所の撤収予定である8月までは隔週一回、その後は仮設住宅や住宅地近傍に場所を移し月一回程度の時系列サンプリングを行う。
3. 持ち帰った試料は、ミニポンプフィルターに関しては即座に三段粒径別重量濃度を測定する。その他の粉塵・大気サンプルに関しては、今後の化学性状分析及びバイオアッセイのために保存し、必要に応じて各研究者に分配する。
4. 得られた粉塵濃度データは宮城県と共有し、また県と協議の上、論文等で発表する。

今年度の研究概要

宮城県被災地域の飛散粉塵濃度測定を行い、県の要請に応える。付随して震災の環境・健康影響評価のための関連媒体(大気成分、飛散粉塵、津波堆積物および避難所室内ダスト等)の時系列サンプリングを行い、共同研究者らによって本研究の後段で準備される化学性状分析およびバイオアッセイ用の試料を確保する。

外部との連携

宮城県(保健福祉部、環境生活部、保健環境センター、保健所)との連携、環境省との連携・情報共有、復興本部との連携

課題代表者

中山 祥嗣

  • 環境リスク・健康領域
    エコチル調査コアセンター
  • 次長
  • 博士(医学)
  • 医学,化学
portrait

担当者