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オゾン応答遺伝子を用いた植物のオゾンストレス診断手法の開発(平成 23年度)
Development of a diagnosis method for ozone stress in plants using ozone responsive genes

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1113CD002
開始/終了年度
2011~2013年
キーワード(日本語)
生態系影響評価,影響評価手法,アサガオ,ブナ
キーワード(英語)
risk assessment in ecosustem, risk assessment method, Ipomoea nil, Fagus crenata

研究概要

わが国では多くの大気汚染問題が改善されてきたが、光化学オキシダント(オゾン)については、逆に汚染の高濃度化、広域化が進んでおり、人間の健康はもとより、森林や農作物など植物への深刻な悪影響が強く懸念されている。本研究の目的は、植物が生育環境中のオゾンによって受ける影響を正確かつ迅速・簡便に把握するためのストレス診断手法の開発である。まずはオゾン指標植物であるアサガオや、オゾンによる衰退が示唆されているブナ等の植物を用い、オゾンに応答して発現する遺伝子の情報を得て、実際の野外に生育している植物の影響評価に利用可能な、分子的機構に裏付けられしかも比較的安価に実施できる手法の確立を目指す。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

オゾン感受性の高い指標植物であるアサガオや、衰退の要因としてオゾンが示唆されているブナ等の植物において、オゾンストレスのマーカーの候補となるオゾン応答遺伝子を選定し、それらの遺伝子の発現の調査を行なう。野外環境中で生育する上記植物種におけるオゾンストレス診断に最適なマーカー遺伝子を決定し、それらを用いた遺伝子発現によるオゾンストレス診断手法を開発する。具体的には、野外環境中で生育する植物からRNAを調整し、逆転写PCRによってマーカー遺伝子の発現の程度を調べることで、どのような遺伝子がどの程度発現しているかという情報を得て、植物がオゾンストレスを受けているかどうかの評価、及び受けている場合はその程度を評価する手法を開発する。特に、逆転写PCRでは、電気泳動画像のフリーソフトによる解析や微量分光光度計を用いる方法など、比較的安価に実施できるPCR産物の定量方法を検討する。

1.マーカー候補遺伝子の単離
1)高濃度オゾンに短時間で応答する遺伝子の検索
2)低濃度オゾンに応答する遺伝子の検索

2.オゾン応答遺伝子の詳細な発現解析
1)オゾン応答性パターンの分類
2)遺伝子発現の定量性の調査

3.オゾン応答性遺伝子の発現情報を利用した野外でのオゾンストレス診断
1)オゾン特異的遺伝子発現パターンによるオゾン影響の評価
2)オゾンによる遺伝子発現誘導の定量性の評価

今年度の研究概要

これまでに、シロイヌナズナを初めとするモデル植物でオゾン暴露による発現の変化が報告されている遺伝子を参考に、アサガオ、ブナ等の植物におけるオゾン応答遺伝子群を選定し、ストレス診断に用いるマーカー遺伝子の候補を得る。
高濃度短期間(急性)及び低濃度長期間(慢性)のオゾン影響を評価するための遺伝子の情報を得る。モデル植物等でオゾン暴露時に遺伝子発現誘導が起きることが知られている10数種類の遺伝子(解毒に関わるグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、防御機能の活性化に関わるフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)、活性酸素消去系酵素群、傷害や防御に関わる植物ホルモンの生合成系酵素等の遺伝子)について、データベースを利用して当該遺伝子の塩基配列の情報を得、各遺伝子の転写産物の検出に用いる特異的プライマーを設計する。急性および慢性のオゾン暴露を行った植物からRNAを調整し、特異的プライマーを用いて各遺伝子についてオゾン応答性の調査を行う。
 また、野外でアサガオ、ブナ等を栽培し、春季から夏季にかけてオゾン濃度や可視害を記録すると共に、葉を採取してRNA調製用に長期(数年以上)の試料保存が可能な試薬に浸漬し凍結保存する。
 

関連する研究課題

課題代表者

青野 光子

  • 生物・生態系環境研究センター
    環境ストレス機構研究室
  • 室長
  • 博士(理学)
  • 生物学,生理学,生化学
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