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地球温暖化研究プログラム(平成 23年度)
Climate Change Research Program

研究課題コード
1115SP010
開始/終了年度
2011~2015年
キーワード(日本語)
地球温暖化,温室効果ガス,吸収排出源,リスク管理戦略,緩和策・適応策,政策オプション
キーワード(英語)
Global Warming, Greenhouse Gases, Source and Sink, Risk Management Strategy, Measures for Mitigation and Adaptation, Policy Options

研究概要

地球温暖化問題に関し、気候変化の将来予測の高度化の観点からの重要課題のひとつとして、温室効果ガスの自然起源の吸収・排出源の変動メカニズムの解明と将来の吸収能力の変化予測の高精度化が求められている。また、国際的な温暖化対策の推進に関し、地球規模のリスク管理戦略を構築していくことが必要とされてきている。同時に、脱温暖化社会の実現に向けて、各国の今後の温室効果ガス排出削減行動が重要であり、各国の政策オプション、国際協調のあり方などが依然として、重要な課題として残されている。第3期中期目標期間においては、これらの諸問題の解決を目指して、科学的な知見の集積・提供を図る必要がある。
そこで、地球温暖化の原因物質である温室効果ガスの濃度変動特性を、地上観測サイト、船舶、航空機並びに人工衛星をプラットフォームとした総合的な観測とモデル解析に基づいて解明するとともに自然起源の吸収源の保全に必要とされる科学的知見を提供する。
また、地球規模の温暖化対策目標及び目標に至る道筋・方法についての議論を、リスクの管理に関する社会的な意思決定の問題として捉え、この意思決定を支援するため、地球規模の温暖化リスクに加え、水安全保障、生態系保全など関連する温暖化以外の地球規模リスク、及びリスク管理オプションについての検討を行い、リスクに対する社会の認知等も考慮した上で、リスク管理戦略の分析を行う。
アジア各国における脱温暖化社会に向けた取組の支援に資するため、世界及び日本における温室効果ガス削減目標及び対策の評価を行うとともに、中長期的な温室効果ガス排出削減目標の設定と、その目標を実現するための各国の諸状況に応じた政策オプションを提示する。また、国際制度・国際交渉に関する研究を進め国際協調のあり方を提言する。
以上の調査・研究を推進することにより、以下の方向を目指す。
(1) 全球及び東アジア域を中心とした大気環境・温室効果ガスの観測・解析に基づき、これらの地域での物質循環・炭素循環の実態とその変動機構を明らかにするとともに、将来の気候変動影響下での温室効果ガス濃度予測精度の精緻化を図り、将来の気候変動の予測精度の向上に資する。
(2) 気候変動の実態の解明と将来予測の精緻化を進め、更に気候変動に対する地球規模の影響リスクの評価を行うことにより、気候変動政策の立案に資する科学的知見を提供する。
(3) 世界規模での温室効果ガス排出抑制策(緩和策)や気候変動に対する影響、適応策を総合的に評価し、国際交渉の実情をも考慮した実現可能な政策オプションを提示することにより、気候変動に対する国際的な緩和・適応策の推進に関する科学的知見を提供する。

今年度の研究概要

温室効果ガスの自然起源の吸収・排出源の変動メカニズムの解明と将来の吸収能力の変化予測の高精度化を行うとともに、国際的な温暖化対策の推進に関し、地球規模のリスク管理戦略の構築、脱温暖化社会の実現に向けての各国の政策オプション、国際協調のあり方などの諸問題の解決を目指して、科学的な知見の集積・提供を図る。
(1) 衛星ならびに地上、船舶、航空機などのプラットフォームを用いた全球及び東アジア域を中心とした大気環境・温室効果ガスの観測の継続を図りつつ、これらの観測の総合的な解析のためにデータの統合化やモデルの改良などに着手する。また、分析、観測技術の高度化を行うことによって観測対象地域での放射収支関連物質の分布・循環の実態とその長期的変動機構を明らかにする研究を進める。
(2) 将来の気候変動およびその影響についてメカニズムの理解を深め不確実性を評価するための予測実験の解析を進めるとともに、気候変動を含む地球規模問題をリスク管理の観点から評価するためのフレーミングの検討とモデルの構築に着手する。
(3) アジア主要国における低炭素社会実現に向けた施策を評価する統合評価モデルの開発を開始するとともに、世界の温室効果ガス排出経路について世界モデルを用いて分析し、中国等途上国の参加を促進する方策を検討する。アジア主要国の統合モデルによる各国削減シナリオ、世界モデルを用いた温室効果ガス排出シナリオをそれぞれ明らかにするとともに、COP17等にて想定されるCOP決定等の合意内容を定性的に評価することをアウトプットとする。

課題代表者

笹野 泰弘