- 予算区分
- AF 奨励
- 研究課題コード
- 1011AF005
- 開始/終了年度
- 2010~2011年
- キーワード(日本語)
- 社会的知能,観察学習,個体識別能力,自閉症,広汎性発達障害
- キーワード(英語)
- Social intelligence, Observation learning, Individual recognition, Autism, Pervasive developmental disorders
研究概要
環境中化学物質が自閉症を含む広汎性発達障害(PDD)の発症に影響する可能性が疑われており、動物実験による影響評価が求められているが、症状の主因である対人(他者)理解の異常を検出できる動物行動評価法が存在せず、新たに開発する必要がある。本研究は汎用行動解析装置IntelliCageに組み込める信頼性の高い行動評価法の開発を目的とし、世界に通用する標準的試験法にまで発展させることを目標とする。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:技術開発・評価
全体計画
自閉症を含む広汎性発達障害(PDD)の早期診断基準となる観察学習力/個体識別力をマウスで定量できる評価法を開発し、その信頼性を検証する。
今年度の研究概要
試験法の開発と信頼性検証の具体的研究計画:
1. 観察学習試験:
a) 空間記憶を利用した試験:IntelliCageは行動を集団で観察でき、かつ、4コーナーのいずれかを報酬(飲水)可能に割り当てることで空間記憶力も評価できる。この2つの特性を生かして、空間学習経験群と未経験群を混合し、未経験群の学習効率の上昇を指標に観察学習力を定量する。
b) 時刻記憶を利用した試験:報酬が与えられる時間を限定すると、報酬開始時刻を記憶・予期して行動量が増加する。異なった時刻に報酬を受ける2群を混合することで、他群の行動を観察して予期行動が起こるか解析する。
2. 個体識別試験:群飼育下で、特定のマウスAが訪れたコーナーに直後に他個体が訪問すれば報酬が得られるように設定し、他個体がAを特異的に追尾する度合いを定量する。
3. 評価法検証実験: 社会性行動試験中に起こる脳の活動変化をヒト先行研究と比較し、新規試験法がヒトへの影響評価モデルとなるか検証する。
課題代表者
前川 文彦
- 環境リスク・健康領域
生体影響評価研究室 - 主幹研究員