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民間航空機を活用したアジア太平洋域上空における温室効果気体の観測(平成 22年度)
Observation of Greenhouse Gases over Asian-Pacific Region using Commercial Airliners

予算区分
BB 環境-地球一括
研究課題コード
0610BB920
開始/終了年度
2006~2010年
キーワード(日本語)
温室効果気体,航空機,炭素循環
キーワード(英語)
GREENHOUSE GASES, AIRCRAFT, GLOBAL CARBON CYCLE

研究概要

地球表層の炭素循環を定量的に明らかにするための3次元大気輸送モデルの性能は日進月歩であるが、入力すべき観測データ、特に鉛直方向の観測結果は決定的に不足しており、最終的な収支見積の精度向上を阻む原因となっている。本研究は(株)日本航空(JAL)所有の国際線航空機5機にCO2濃度連続測定装置と大気試料サンプリング装置を搭載して、頻度と領域を飛躍的に向上させた温室効果気体の空間分布観測を新たに立ち上げるものである。
特に観測の空白域であるアジア域のデータ及び世界各地での鉛直分布は大陸別の炭素収支量の推定に多大な貢献となると期待される。また、その観測結果は2008年に日本と米国で相次いで打ち上げられる予定の温室効果気体観測衛星(GOSATやOCO)の極めて重要な検証データとなる。さらに、上部対流圏における観測データ量が飛躍的に増えるので、大気輸送モデルで信頼性の低い鉛直方向の輸送過程を評価する非常に有効な情報にもなる。

研究の性格

  • 主たるもの:モニタリング・研究基盤整備
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

本研究では2つの手法による観測を行う。1つはCO2濃度連続測定装置(CME)によって航空機の飛行中に連続してCO2濃度を測定するものであり、もう1つはフラスコサンプリング装置(ASE)によって航空機の飛行中に大気試料を採取し、地上の実験室においてCO2を始めとする温室効果気体の濃度やCO2の安定同位体比の観測を行うものである。CME は主にアジア路線に就航する航空機に搭載し、アジア各地のCO2濃度高度分布、日本とアジアを結ぶ経路上の上部対流圏における緯度・経度分布の高頻度観測が実現する。また、これらの機体は、オーストラリア、米国西海岸、ハワイ、およびシベリア上空経由ヨーロッパにも就航するため、太平洋域およびユーラシア大陸上空におけるCO2濃度の季節変動や経年変動も同時に取得できる。ASEを用いて1ヶ月に2回の頻度でオーストラリア−日本路線において西部太平洋上空の大気試料を採取し、CO2、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)、六弗化硫黄(SF6)、一酸化炭素(CO)および水素(H2)の各濃度とCO2の炭素同位体比(d13C)および酸素同位体比(d18O)の上部対流圏における緯度分布を観測する。

今年度の研究概要

引き続きCMEとASEを使った航空機観測を実施する。CMEの水平飛行で得られたデータの解析をさらに進めると共に、モデル計算との比較を通した共同研究を推進する。

備考

本研究は気象庁気象研究所との共同研究である。

課題代表者

町田 敏暢

  • 地球システム領域
    大気・海洋モニタリング推進室
  • 室長(研究)
  • 博士(理学)
  • 理学 ,地学,物理学
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担当者