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自然レベル放射性炭素を用いた海洋古細菌による水温決定に関する同位体地球化学的検討(平成 22年度)
Radiocarbon

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1012CD014
開始/終了年度
2010~2012年
キーワード(日本語)
物質循環,放射性炭素,マリンクレンアーキオータ
キーワード(英語)
material circulation, Radiocarbon, Marine Crenarchaeota

研究概要

堆積物に保存されている海洋性古細菌(マリンクレンアーキオータ)細胞膜脂質(GDGTs)を用いた水温(TEX86)復元プロキシーの実用化をめざすため、堆積物コアを採取する現場海域におけるGDGTs を作るマリンクレンアーキオータのバイオマス量の水深分布やクレンアーキオータの起源について明らかにする。すなわち、堆積物コアに保存されるGDGTs がどの水深に生息するクレンアーキオータであるのかを解明する。具体的には、北西太平洋域においてCTD による様々な深度での大量採水を実施し、現場海域におけるマリンクレンアーキオータの微生物生態学的情報(バイオマス量の把握)と各深度におけるTEX86 を計算する際に使用するGDGTs の組成、存在量について調査を行う予定である。これにより、堆積物に保存されているGDGTs から求められる水温(TEX86)がどの水深を反映しているのか特定する。さらに現場海域の表層堆積物についても同様の調査を行うものとする。最終的に、これらのGDGTs の自然レベル14C 存在量(以下、Δ14C)と海水中DIC, DOC, POC のΔ14C の比較から、現場海域各深度におけるGDGTs の炭素源を明らかにし、堆積物に記録されGDGTs 水温(TEX86)の有効性を確認する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

本研究においては、堆積物から求められるTEX86 の示す水温記録の水深を特定するため、すでに氷期までの連続的にTEX86 分析を終了している下北沖海域を含め、北西太平洋域等においてCTD による様々な深度での大量採水を行い、現場海域における古細菌マリンクレンアーキオータの微生物生態学的情報(バイオマス量の把握)と各深度におけるTEX86 を計算する際に使用するマリンクレンアーキオータ膜脂質分子(GDGTs)の組成、存在量について調査を行う。さらに現場海域の表層堆積物についても同様の調査を行うものとする。最終的に、これらのGDGTs の自然レベル14C 存在量(以下、Δ14C)と海水中DIC、DOC、POC のΔ14C の比較から、GDGTs の炭素源を明らかにし、堆積物に記録されるGDGTs と現場海域各深度におけるGDGTs の起源を明らかにする。

今年度の研究概要

本年度は、試料の採取とGDGTs の同位体分析(14C, 13C)分析のための分析化学的条件検討を重点的に行う。
古水温指標(TEX86)を細胞膜脂質成分として保持している古細菌(マリンクレナキオータ)の現代海洋におけるバイオマス量の鉛直分布ならびに現場水温との関係を把握するため、北極海北太平洋にて、米国McLane社の懸濁粒子採集用現場型濾過装置を使用し、293mmフィルターを用いて採水を行う。
分析に関しては、GDGTs の大量抽出・精製・濃縮・純度チェックに取り組む。すでに採取された堆積物コア試料を用いて、分子レベル14C 測定に先立ち、各種サイズのフィルターに補足された微生物膜脂質分子(エーテル脂質(古細菌)、脂肪酸(細菌))の抽出と同定を行う。これらの作業は、国立環境研究所内田主任研究員が所有する高速溶媒抽出装置、LC/MS等を使用し行う。フィルターは、大容量ソックスレー抽出機により、溶媒可溶脂質成分の全抽出を行い、その後、アルカリけん化処理を行う。さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーによる、中性成分から、古細菌膜脂質GDGTs を分画する。GDGTs は、LC/MS により定量・同定を行う。また、古細菌が炭素源として植物プランクトン由来の炭素を利用しているのか調べるために、古細菌と植物プランクトンの細胞膜脂質の14C値を比較する。

関連する研究課題
  • 0 : 領域プロジェクト

課題代表者

近藤 美由紀

  • 環境リスク・健康領域
    計測化学研究室
  • 主任研究員
  • 博士(農学)
  • 化学,生物学,農学
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担当者