- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 0911CD008
- 開始/終了年度
- 2009~2011年
- キーワード(日本語)
- 甲殻類,保全,海洋島,固有種,インベントリ
- キーワード(英語)
- Crustacea, Conservation, oceanic islands, endemic species, inventory
研究概要
小笠原諸島では陸水域で十脚目甲殻類の固有種が相次いで発見されており,これらの種は絶滅のおそれがある種としてレッドリストに掲載されたが,保全に必要な生活史はまだ未解明である。また,サンゴ礁海域は白化現象により危機的な状況にあるが,この海域に生息する十脚目甲殻類の研究は不十分である。そこで,本研究では,小笠原諸島の陸水域やサンゴ礁海域で十脚目甲殻類の調査を行い,固有種や絶滅危惧種など十脚目甲殻類のインベントリを作成し,併せてこれらの種の初期生活史を解明し,今後の保全施策に資することを目的とする。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:行政支援調査・研究
全体計画
小笠原諸島の父島および母島を主な調査地域とし、陸水域・海岸および浅海域において水生生物の分布調査を行う。特に、十脚目甲殻類を主要な研究対象として分類学的研究を行う。2009年度は、これまで誤同定の原因となってきた古い学名の整理をするとともに、固有種・絶滅危惧種および隔離分布種など注目種をリストアップし、インベントリをとりまとめる。また、近年の研究により固有種として記載されたオガサワラヌマエビなどについては飼育により塩分耐性やゾエア齢期についての研究を行う。2010年度は前年度に引き続きサンゴ礁海域や陸水域の十脚目甲殻類についての調査を行い、インベントリの改訂を行い、固有種の初期生活史についての研究を行う。2011年度はとりまとめの年として、補足的な調査を行う。また、すべての年度を通じて得られた標本のうち基準となる標本については千葉県立中央博物館などに収蔵する。
今年度の研究概要
前年度に引き続き,父島と母島の陸水域および浅海域で十脚目甲殻類を主要な対象とした水生生物の分布調査を行う。D-フレームネットやポンプなどによる採集と併せて,潜水などによる調査を行うが,前年度とは異なる地域や海域で調査を行う。
このようにして得られた標本を用いて連携研究者がそれぞれ専門とする分類群について研究を行う。小笠原諸島の海岸やサンゴ礁海域において採集された甲殻類は暫定的に本州や琉球列島に分布する種に同定されることが多いが,関連する分類群の専門家と共同研究を行う。小笠原諸島の新記録となる種がでてくることも期待されるが,琉球列島産の標本と比較するなどして分類学的研究を行い,未記載種が発見された場合には必要に応じて記載を行う。
サンゴガニ類は従来1つの科に属するとされていたが,Castro他(2004)により3科13属に分けられた。小笠原諸島にはTrapezia属の数種が分布する可能性は高いので,昨年度に引き続き潜水調査により確認を行い,種のリストを作成する。また,カクレエビ類では同一種とされるもののうち色彩パターンが異なることから別種の可能性が示唆されているなどの事例もあるので,そのような種の分布が確認された場合には別種であるかどうか検討する。
小笠原諸島の固有種オガサワラヌマエビとオガサワラモクズガニの初期生活史についての研究を引き続き行う。特にオガサワラモクズガニについては同所的に発見される他のカニ目のメガロパ幼生との識別点がまだ明らかでないので,飼育により初期生活史についての研究を行う。
備考
[連携研究者]
千葉県立中央博物館 駒井智幸
大阪工業大学・工学部 三橋雅子
琉球大学・亜熱帯島嶼科学超域研究推進機構 成瀬 貫
[研究協力者]
国立環境研究所 山野博哉
- 関連する研究課題
- 0 : その他の研究活動