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放射性炭素および分子レベル同位体解析を用いた炭素循環と生態系構造の関係の解明(平成 22年度)
Radiocarbon

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1012CD013
開始/終了年度
2010~2012年
キーワード(日本語)
放射性炭素14,安定同位体比,炭素循環,食物網,生態系
キーワード(英語)
radio carbon14, stable lsotope ratio, carbon cycle, food web, ecosystem

研究概要

本研究は、天然に存在する放射性炭素14を用いた「生態系時間軸構造の解明」と分子レベル炭素・窒素安定同位体解析による生態系構造(食物網構造・物質循環系)の解明を融合し、炭素循環とそれを駆動している生態系構造の関係の解明を行う。研究対象は陸域生態系・水域生態系を統合した集水域レベルとし、生態系構造の観点から炭素動態に関するメカニズムの解明を行う。それによって、生態系の炭素循環にかかわる生物多様性のありかたについての知見を得ることを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

(1)生態系を移動する炭素の循環過程を、天然に存在する放射性炭素14を用いて記述するとともに、その動態に影響を与えている生態系構造の動態に関して、各種安定同位体比を用いて解析する。具体的には、陸域生態系から河川生態系を通して水域生態系(湖沼・海洋)へ移流する炭素の動態と、生態系(食物網構造・栄養塩類・有機物)の動態を解析する。
(2)新規に納入した最新鋭の分析システムを活用し、分子レベル安定同位体解析(特に、アミノ酸の窒素・炭素同位体解析)を用いた高解像度の食物網解析を行う。アミノ酸の窒素同位体比は、生産者の同位体変動に影響されない栄養段階を示すという有効性がある。
 これら2つの最先端の同位体分析を用いることにより、生物の代謝が炭素循環を規定しているという観点から、集水域(陸域および水域)の生態系構造の視点でメカニズム解明を行う。

今年度の研究概要

  22年度には、まず研究体制および分析システムの確立を行う。
  陸域生態系研究として土壌生態系の炭素蓄積と分解過程および土壌動物の研究を行う。主な調査地は、茨城県北茨城市の小川群落保護林および京都市の京都大学フィールド科学教育研究センター里域ステーション上賀茂試験地である。水域生態系研究として河川生態系の炭素循環および食物網の研究、そして琵琶湖における炭素動態と食物網の研究を行う。主な調査地は、研究代表者が所属する京都大学生態学研究センター(大津市)が属する琵琶湖の集水域とする。森林より河川に流出する炭素画分(溶存無機炭素(DIC)・溶存有機炭素(DOC)・懸濁態有機炭素(POC))の放射性炭素14解析により炭素回転速度の解析を行うとともに、付着藻類、バクテリアマット、生物群集の炭素・窒素安定同位体比を用いた食物網解析を行う。
  最新の技術であるアミノ酸窒素同位体分析を用いた栄養段階推定の方法に関しては、22年度は機械の立ち上げおよび分析プロトコルの開発に専念し、次年度以降に効率的に運用する下地を作る。

備考

研究代表:陀安一郎(京都大学・生態学研究センター・准教授)

関連する研究課題
  • 0 : その他の研究活動

課題代表者

内田 昌男

  • 地球システム領域
    動態化学研究室
  • 主幹研究員
  • 博士(農学)
  • 化学,地学,理学
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